研究課題/領域番号 |
19K17123
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
稲川 拓磨 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 精神診療部, 医師 (90773606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激 / tDCS / 認知症 / 軽度認知障害 |
研究実績の概要 |
神経認知障害の認知機能に対する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、我々が行った系統的レビューおよび先行研究から、高用量(回数の増加、高強度)、認知機能トレーニングと並行して行うことが、認知機能が効果に影響をおよぼす可能性が示唆された。そのため、tDCS(2mA, 20min/回、2回/日、週5回)を認知機能トレーニング(計算課題、漢字課題)と並行して行う予備研究を計画し(ClinicalTrials.gov NCT03050385)。介入群の脱落率は0%であり、主要評価項目である脱落率0%以下は達成された。さらに、偽刺激群と比べ、本刺激群では、ADAS-Cogのベースラインからの変化量は刺激直後で1.61、刺激後2週間で0.36の改善を認めた。有効性の検証の上では、各群 46例、両群92例が必要であることが明らかになった。(Inagawa T, et al. Effects of multisession transcranial direct current stimulation as an augmentation to cognitive tasks in patients with neurocognitive disorders in Japan: a study protocol for a randomised controlled trial. BMJ Open.2020 Dec 23;10(12):e037654)。また、2020年4月までに23例より同意取得し、16名は介入を終了した。現時点で治療を必要とする重篤な有害事象は発生していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の終息の目途が立たず、2019年4月以降、被検者のリクルートが大幅に遅延している。さらには、COVID-19重症化リスクになる高齢者を対象としている試験であり、特にCOVID-19流行期はリクルートを中止してきた。そのため、COVID-19流行後より被検者リクルートは大幅に難航している。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば、被検者リクルートを引き続き行う。また、難しい場合も、現時点で組み入れが完了した症例を対象に、認知症もしくは軽度認知障害の認知機能に対するtDCSの安全性や有効性に関する解析を行い、学会での発表等を予定する。さらには、先行研究のレビューを行い、本テーマに関する国内外の研究の展望、課題、限界点についても考察する予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大に伴い、被検者リクルートを保留しており、また、発表についても、準備が遅れている。次年度は発表などの準備を主として進める。
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