今後の研究の推進方策 |
先行研究のがんの論文において、WDR3の発現を抑制することで18S rRNA発現量が減少し、40Sリボソームサブユニットの生合成が障害されることで、細胞周期が停止すると報告されているが(McMahon 2010)、脳における発現変化の影響は明らかになっていない。 初年度の発現解析より、WDR3ヘテロ欠損マウスにおいて海馬18S rRNA発現量の減少が認められたが、WDR3発現はadult neurogenesisに影響を与えるのかどうか、Ki-67およびDoublecortinを用いた免疫組織化学染色により検証する。さらに、統合失調症で発現変化が報告されている分子 (NR1, NR2A, NR2B, Parvalbmin, GAD67, Reelin, CNPase, MBP, Calretinin, Calbindin等) の発現が、WDR3ヘテロ欠損マウスの海馬において変化しているのかどうかをqPCR法を用いて解析を行う。これらの実験により、海馬におけるWDR3の役割および統合失調症との関連を分子レベルで評価する。 さらに、WDR3遺伝子欠損マウスを用いて海馬依存性の行動変化が認められるかどうか行動解析を行う。具体的には、情動行動・短期記憶を評価するために、オープンフィールドテスト・Y字型迷路試験を予定している。 以上により、中枢神経系におけるWDR3の機能および統合失調症病態への関与を明らかにする。
|