研究課題/領域番号 |
19K17138
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研究機関 | 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部 |
研究代表者 |
光吉 隆真 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 副医長 (70826015)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 局所進行非小細胞肺癌 / 転移性脊椎腫瘍 / 線量増加 / IMRT / SBRT / SIB / 臨床試験 |
研究実績の概要 |
本研究は,回転型強度変調放射線療法(VMAT)を用いて正常臓器への線量を従来の線量程度に抑えつつ,腫瘍のみに線量増加させる独自の新規照射法での手術不能な局所進行非小細胞肺癌に対しての推奨線量を決定し,臨床上有効であることを検証することを目的としている.本研究は前向き臨床研究であるため,症例集積は重要な課題であるが,勤務施設の異動があり,前施設での症例集積に関して直接携われなかったこと,根治的な化学療法後に免疫療法を維持療法として実施することが標準治療になり,放射線治療の意義が変わってきたことなどの理由から,昨年度および今年度と症例集積を予定通りには進めることができなかった. 一方で,昨年度に報告した本新規照射法を転移性脊椎腫瘍へ応用した臨床試験(転移性脊椎腫瘍に対して,標的体積内同時ブースト (simultaneous integrated boost, SIB)を用いた回転型強度変調放射線療法(VMAT)による体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy, SBRT)を実施し,その有効性及び安全性を探索的に検討する第 II 相試験(UMIN000041948))については,施設での倫理承認も受け,症例集積は順調に進んでいる.本臨床試験で提案する照射法は,放射線治療の技術的な照射法に関するコンセプト自体は,手術不能な局所進行非小細胞肺癌に対して提案したものと全く同じ照射法であり,本臨床試験により,本研究提案の新規照射法が転移性脊椎腫瘍に対しても有用であることを示すことは,当初の研究予定の疾患対象は異なるが,臨床的に大変意義のあることだと考えている.この臨床研究については,症例集積は順調に進んでおり,今年度中の症例集積完了を目指している.主要評価項目を1年局所制御割合としているため,結果報告・論文投稿は来年度を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,手術不能な局所進行非小細胞肺癌に対しての新規照射法の有用性を検証する第Ⅱ相臨床試験を行っているが,前項でも記載したように臨床試験の症例集積進捗については,症例集積に関して直接携われなかったことが一因となり,予定通りには進んでいない. 一方で,一昨年度開始した本新規照射法を転移性脊椎腫瘍にも応用した第二相臨床試験については,月1症例ペースで順調に症例集積が進んでおり,登録目標予定数28例で,現在21症例目の治療を実施中である.本研究については順調に進んでいると考えている.昨年度は,本新規照射法による短期での安全性及び有効性について「転移性脊椎腫瘍に対する体幹部定位放射線治療の初期経験」として,日本放射線腫瘍学会第34回学術大会で報告した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画の局所進行非小細胞肺癌に対しての新規照射法の実臨床での有効性を確認する臨床試験ついては,残り1年での症例集積完了及び結果の評価は現実的に難しいと考えている。一方,転移性脊椎腫瘍に対する新規照射法の実臨床での有効性を確認する臨床試験については,順調に症例集積は進んでおり,2022年10月ころまでには,28例の症例集積を完了したいと考えている.その後,1年間の追跡調査を経て,転移性脊椎腫瘍に対する本新規照射法の有効性を報告したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究については、海外での学会発表を予定していたが、コロナ禍のため、渡航制限があり、学会発表については国内オンライン開催での1つのみとなった。そのため次年度使用とした。今回の研究テーマについては次年度発表予定である。
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