研究課題/領域番号 |
19K17140
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川口 弘毅 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60781820)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | エクソソーム / miRNA / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
実験計画書に基づき、初年度において128例の担癌患者および健常ボランティアから同意を得て涙液および血清を採取した。このうち、健常ボランティアからの涙を用いてウエスタンブロッティング法で抗CD9/63抗体を検出することによりエクソソームの確認を行ったところ、血清と比較して有意に高発現を示しており、涙液が血清同様にエクソソームを十分に含み、解析に足ることが判明した。 また8人の健常ボランティアと5人の進行乳癌患者の涙液サンプルを用いてmiR-21、200c、1246、17-5p、373を分析したところ、miR-21、200cについてそれぞれ進行乳癌患者において有意に増加していることが判明した。これにより涙中のエクソソームを用いることの乳癌患者におけるリキッドバイオプシーとしての有用性について、その可能性が示された。 本結果についてはすでに論文化を進めており、当該年度末現在において投稿中である。 また、並行して他の癌種において同様にリキッドバイオプシーとしての可能性があるかにつき動物実験も利用しながら探索を進めている。涙液・血清サンプルについても引き続き広く協力を得て肺癌・頭頚部癌・食道癌などの幅広い癌腫を収集するだけでなく、経時的なサンプル採取も可能な限り行い、経過中のエクソソーム中におけるタンパクなどの挙動の変化を探索することにより、予後予測をはじめとしたリキッドバイオプシーとしての用途など、具体的な実用化に向けて必要になると思われるデータ収集に努めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の目標であった血清、涙の質的・量的相関性について、すでに示されただけでなく、進行乳癌患者において涙中エクソソームを用いたリキッドバイオプシーとしての有用性の可能性を示すことができており、翌年度の計画の一部まで現時点で進展できていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
乳癌だけでなく、他の癌種において同様にリキッドバイオプシーとしての可能性があるかにつき探索する。動物実験も、その手法について検討を行いつつ利用して、その結果を臨床検体に応用することを考慮する。 涙液・血清サンプルについては研究計画書に基づき引き続き広く協力を得て採取を継続する。経時的なサンプル採取を重視しつつ、具体的な実用化を見据えたデータ収集を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度に、翌年度分にまたがって研究進捗が行われており、2年分の研究継続性において物品費用、成果投稿にかかる費用等が見込まれるため。次年度は引き続き研究計画調書に基づいて研究費を使用し、実験計画を遂行する予定である。
|