研究課題/領域番号 |
19K17146
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上谷 浩之 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (80583046)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | てんかん / MRI / NODDI |
研究実績の概要 |
てんかんの外科的手術を検討する際には、てんかん焦点の局在診断が重要であるが、限局性皮質形成異常症では通常のMRIでは異常所見を呈さないことがある。Neurite orientation dispersion and density imaging (NODDI) は近年開発された新たな拡散画像解析法であり、比較的短時間に神経突起の密度や神経線維のばらつきの程度などを定量化することが可能である。本研究では、3T MRIにてNODDIとFDG-PETなどのマルチパラメトリックスタディで、てんかん焦点の局在診断に関する有用性を検討し、内科的治療抵抗性てんかん患者の手術適応判定や手術支援ツール作成を目指す。 ファントム実験やボランティア撮影でarterial spin labelingやNODDIの撮像条件最適化を行った。16名の側頭葉てんかん患者でNODDIを含むMRIを撮像し、病変側の海馬領域にintracellular volume fraction (ICVF) の低下を確認した。T2強調像とICVFの病変の描出能を2名の神経放射線科医が評価し、ICVFではT2強調像より有意に海馬病変の描出能が高値であった。NODDIは側頭葉てんかん患者の病変検出に有用である可能性があり、今後、健常ボランティアでの撮像を行い、健常者と群間比較する予定である。また、FDG-PETやarterial spin labelingなど他のMR撮像法やモダリティの撮影を組み合わせて、診断能を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NODDIの撮影数は予定通りであるが、研究対象は臨床ベースであるため、FDG-PETやArterial spin labelingの症例数が予定より集まっていない。
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今後の研究の推進方策 |
健常ボランティアでNODDIの撮像を15例程度行い、側頭葉てんかん患者とICVFなどのパラメータを比較する。FDG-PETやarterial spin labelingなど他のMR撮像法やモダリティの撮影が増えれば、マルチモダリティで診断能を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ボランティア撮影が予定より進まなかったことと、参加予定であった学会がCOVID-19の影響で中止になったため。ボランティア撮影に要する人件費支出やその後の解析に必要なソフトウェアや機器の購入を翌年度に行う予定である。
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