胎児CT検査の実施には2人の個人を考慮しなければなりません.母体となる妊婦に対しては,本人に直接的な利益なく放射線を受けることになりますが被ばく線量を評価する方法は確立しています.一方,胎児に対しては,診断目的で放射線を受けることになりますが,その被ばく線量を評価する方法は確立していません.将来的な放射線障害を危惧する両親の不安を解消するためにも胎児の被ばく線量を評価する方法を確立する必要があります.そこで,Size-Specific Dose Estimates (SSDE) の概念を応用して胎児線量の評価法を確立するための研究を行い,それを簡便に評価できるソフトウェアの開発を目指しました. 管電圧80-135kVpでコンソールに表示されるCT線量指数(CTDI)から胎児のSSDEを求めるための補正係数を提案することができた。妊婦と胎児に対応するCTDIをモンテカルロ(MC)シミュレーションで評価し、これらのCTDIの比を胎児係数と定義した。胎児の有効径が約 10cm の場合、胎児ファクターは 1.0 となる。推定された妊婦SSDEにFetus-factorを乗じて胎児SSDEを推定し、胎児CT検査の画像をMCシミュレーションして得られた胎児線量と比較した。ヘリカルCTを用いて行われた胎児検査において、31.5%の誤差で胎児線量を推定することができた。本研究の結果は、「SIZE-SPECIFIC DOSE ESTIMATES IN FETAL COMPUTED TOMOGRAPHY. Radiation Protection Dosimetry (2022) in press」 accepted 13 March 2022にまとめられた。
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