研究課題/領域番号 |
19K17153
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
宮田 裕作 久留米大学, 医学部, 助教 (60647816)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PD-1 / PD-L1 / CD8陽性T細胞 / 子宮頸癌 / 化学放射線療法 / 経時的変化 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究内容の進展具合について,①データ処理,②病理評価に分けて説明する. ①データ処理:当研究は実臨床における子宮頸癌の化学放射線療法において,癌細胞に発現した免疫抑制因子の一つであるPD-L1とそれに対応するCD-8リンパ球が治療によりどの様に変化するかを組織学的に調査し,その変化が治療抵抗性とどの様に関与するかを調べるものである.この研究の肝は,治療前と治療中毎週,治療後に採取した検体を用いて前述の因子の経時的な変化を調べることである.そのため適切に検体が採取されていたかを再度入念に確認し,データー欠損例や不適切例を対象者から除外し,最終的に対象症例を30例に限定した.ただそれでもあまりに多くの検体数となり,全てを調査することで研究期間を超過する可能性があった.そこで1人から採取した多くの検体のうち,今回の研究で調査する対象検体を,治療前と治療中2ポイント,治療後の計4つに絞りこんだ.現時点での対象症例を統計解析したところ,その背景に明らかな偏りはなかった. ②組織染色:科研費申請当初はPD-L1,CD-8のみを調査することを計画したが,実際の組織中にはマクロファージなど多数の炎症細胞も存在し,頭頸部癌や乳癌などの他部位の癌および子宮頸癌に関する最新の研究論文を鑑みると,これらの関与も無視できず,他の分子マーカーも評価する必要性を感じた.そこで前述の分子マーカーに加えてPD-1,KP-1,CD163,FOXp3も調査することとした.予算や時間が限られているため,このうちどれが実際の治療と免疫との関係性を示すかを調べるため,8例に絞って免疫染色を行い評価した. 今後は,30例全例において,上記の6つのマーカー全てあるいは最初の8例を染色した結果判明した意義のあるマーカーに絞って残りの症例を染色し,統計解析を行った上で,治療抵抗性との関与を調査する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筆頭研究者は臨床現場の放射線治療医で,本研究は病理学的および統計学的評価を必要とするため他部署との連携が必要で,助成金支給当初は病理学講座および統計センターとディスカッションを重ねた.その上で現在病理染色および評価を行なっており,これにやや時間を要した.また染色試薬の取り寄せに時間がかかってしまったことも研究が遅延した理由である.
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今後の研究の推進方策 |
当初提出していた研究計画と比較すると,追加調査を行う項目が増えたが,現在は病理学講座と連携して比較的スムーズに研究が進んでいる.まだ評価した症例数が少なく,十分な統計学的考察ができていないため,2020年度前半は病理学的評価を継続し,その上で得られた結果を統計センターと連携して解析する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究準備に時間を要したため,研究がやや遅延している.現在は比較的スムーズに研究が進んでいるが,これからも染色するための費用が必要であり,その後結果を学会や論文発表するために今後の費用とさせて頂きたい.
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