研究課題/領域番号 |
19K17153
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
宮田 裕作 久留米大学, 医学部, 助教 (60647816)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮頸癌 / 放射線治療 / 高線量率密封小線源治療 / PD-L1 / CD163 |
研究実績の概要 |
放射線療法はがん細胞を破壊して抗腫瘍免疫を活性化する一方で,腫瘍周囲環境(TME)の抗腫瘍免疫を抑制することが知られている.子宮頸癌の根治的放射線療法では,体外照射と小線源治療の二つの異なる照射法を組み合わせるが,これらがどの様に腫瘍免疫に影響するかは十分に解明されていない.そこで根治的放射線療法を施行した頸癌患者において,治療効果別の腫瘍関連免疫の経時的な変化と,免疫の変化による予後への影響を調査した.根治的放射線療法を完遂した頸癌患者26名を,治療開始後2年以内の再発・転移の有無によって治療失敗群(n=14)と成功群(n=12)に分類し,治療前,体外照射のみ(小線源治療直前),小線源治療期間中の中間時点,治療後3か月以内の4時点において,子宮頸部のTMEにおけるPD-1,PD-L1,CD8,CD68,CD163,FoxP3,HIF1-αの発現率の違いと,各分子発現率の予後への影響を評価した.その結果,小線源治療中に,腫瘍免疫の抑制分子の一つであるPD-L1と,腫瘍増殖・増悪に働く細胞(M2マクロファージ)の代表マーカーであるCD163の発現率が治療奏功群と失敗群間において差が生じ(p<0.01,p=0.08),これらの発現率が2年無増悪生存率(2年間再発や転移がなく生存している確率)に関係していた(p=0.04,p=0.02)小線源治療中において,治療効果別にPD-L1とCD163の発現率に差が生じた原因は依然不明であるが,子宮頸癌の新たな予後予測因子になりうる,また腫瘍関連免疫を利用した治療法の開発に役立つ可能性が示唆された(Miyata Y, et al. Radiat Oncol. 2023 Feb 23;18(1):40.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文化まで達成した(Miyata Y, et al. Radiat Oncol. 2023 Feb 23;18(1):40.).
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今後の研究の推進方策 |
論文化しており,残るは学会発表で,本研究で得られた新規知見をより多くの研究者に知っていただく.2023年度の日本放射線腫瘍学会第36回学術大会で発表したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文化が想定より早かったため,校正代及び論文掲載費用に要した.
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