研究実績の概要 |
研究の概要及び実績:今年度は、放射線誘発2次発がんの生涯リスクの算出方法についての研究を実施した。2019年度及び2020年度に実施した「小児小脳上衣腫の炭素線治療における2次粒子線の線量をモンテカルロ計算コードPHITSを用いて算出した結果」を用いて、新しいリスク評価モデルについて検討した。具体的には、現在、臓器平均で評価している線量について放射線治療で一般的に用いられるDose volume histogram (DVH)の形式で再取得するために、モンテカルロ・シミュレーションを用いた炭素イオン放射線治療のレトロスペクティブ研究のための物質割り当て法の検証を実施した。これにより、患者のCT画像からの炭素線治療のモンテカルロ計算の実行及び得られた線量分布をDVHの形式で得ることを可能とした。また、先行的に報告されている2次がんリスク評価式を基として炭素線治療に対応した2次がんリスクモデルについて検討した。光子線治療の放射線誘発2次発がんのリスク評価指標として、Schneiderらが開発したorgan equivalent dose (OED)の概念を用いること、殺細胞効果の評価にRBEの考え方を導入することについて検討した。臨床例を得ることができなかったため患者例を用いてリスク評価を実施することはできなかったが、2次がんリスクを評価する準備は整った。2次発がんの生涯リスクの算出についての結果はJournal of Radiation Research誌に掲載された(Journal of Radiation Research, Volume 62, Issue 5, September 2021, Pages 846&-8211;855,)。
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