研究課題
若手研究
小児の放射線治療において、陽子線治療と比較して重粒子線治療がより放射線治療後の放射線誘発性の2次発がんリスクを低減させることができる可能性を示唆したことが本研究の主たる成果である。特に、放射線による被ばく線量の評価によく用いられるモンテカルロシミュレーションによる臓器に対する被ばく線量の計算結果では、陽子線治療に対して重粒子線治療はがん以外の臓器に対する中性子の被ばく線量を5-16%にまで減少出来る事を示した。
医学物理学
現在、小児のがん治療に対して陽子線治療は保険収載されている一方で、陽子線治療以上の良好な治療効果が期待出来るにもかかわらず重粒子線治療は保険収載されていない。この理由の一つとして、陽子線治療では小児における2次粒子線によるリスク評価は実施されているが、炭素線治療では小児における2次粒子線の評価が行われていないことが挙げられる。本研究の成果によって、小児に対する陽子線治療と比較して重粒子線治療がより患者の2次発がんリスクを低減出来る事が示唆された。