研究課題/領域番号 |
19K17159
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
前川 由依 東北大学, 大学病院, 医員 (60644698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳癌 / 電気伝導率 |
研究実績の概要 |
乳房MRIはガドリニウム造影剤(Gd-diethylene triaminepentaacetic acid (DTPA))の市販とともに1980年代から普及した.ガドリニウム造影剤は静脈注射後,間質腔に分布し,vascularityの高く間質腔の広い組織に分布する.良性と悪性腫瘍ではvascularity,間質腔の広さが異なるため,造影効果が異なり鑑別能につながっている.実臨床では造影MRIが乳腺腫瘤性病変の良悪性の鑑別,病変の広がり診断に用いられている.一方で近年,ガドリニウム製剤の投与には問題が生じている.ガドリニウム製剤の体内残存によるリスクは考慮するべきで,造影剤を必要としない非侵襲的な撮像法の開発が求められている. 電気伝導率(conductivity)は物質中における電気伝導のしやすさを表す物性値で,単位はS/m(ジーメンス毎メートル)で表される.近年MRIの位相画像から非侵襲的にconductivityを算出する方法が報告されmagnetic resonance electronic property tomography(MREPT)と呼ばれている.MRIで算出した脳腫瘍のconductivityは正常部に比べ高いことが報告された(Proc 19th ISMRM ’11 Vol 4464 2011.).申請者らは,乳腺においてturbo spin echo (TSE)法の位相画像を用いたMREPT初期検討を行い, conductivityは悪性病変で良性病変より有意に高いことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MREPTの撮像を,乳房MRIプロトコルに追加し,順調に症例の蓄積が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
新鮮摘出標本のconductivity実測値とMREPT測定値の対比による測定精度の検証とMREPTと既存の非造影乳腺MRI撮像法(拡散強調画像)の組み合わせによる診断能の確認を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新鮮摘出標本のconductivity実測値とMREPT測定値の対比による測定精度の検証を行わなかったため,次年度使用額が生じた.
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