研究課題/領域番号 |
19K17161
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
家子 義朗 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60825793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Radiomics / DIR / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高次元画像特徴量を扱うradiomics解析を非剛体画像レジストレーション (deformable image registration: DIR) に応用させ、高精度な画像レジストレーションアルゴリズムを開発することである。Radiomicsにより精度向上に寄与する画像特徴量を探索し、それをDIRの画像変形過程である類似度解析・画像変形・最適化に組み込むことによって精度向上を図り、従来法が有する画像レジストレーションの課題を克服することを目指す。より精度の高いアルゴリズムが開発できれば、高精度放射線治療において、患者の体型変化や腫瘍縮小などにより治療計画時から位置変位が生じても質を落とさずに治療を施行することが期待できる。 Radiomicsに関する先行研究では、腫瘍など特定領域に限定して解析をすることが一般的であるが、本研究では画像処理フィルタを施すように局所的にradiomics特徴量を抽出してそれをDIRに応用する必要がある。2019年度は、radiomicsの解析範囲を定める自動輪郭抽出プログラムや、その輪郭において任意のサイズに対し局所的にradiomics解析を行うプログラム、また、そこで取得された画像特徴量情報を画像変形過程に組み込む、ベースとなる独自のDIRアルゴリズムの開発を行った。しかし、局所的なradiomics解析や特徴量を考慮したDIRの処理においては扱う情報量が多く、膨大な計算時間を要する問題点がある。したがって、現在は処理の高速化を図るためにプログラムの改良を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に開発した局所的にradiomics解析を行うプログラムでは膨大な計算時間を要しているため(例: 3mm×3mm×3mmの領域を全肺にわたって解析をした場合13.7時間を要し131.5 GBの容量が必要であった)、並列計算に対応したプログラムに修正するなど高速化を図る必要があり、その改良に時間を費やしている。また、radiomicsは画像のわずかな変化でも画像特徴量が変化し、それがDIR結果に影響を及ぼすため、局所的にradiomics解析を行う際、関心領域境界の画像値をどのように置換するか(画像のパディング)についても、よく検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続きプログラムの改良を行った後、精度評価を行うつもりである。広範囲の解析を一度に行うと膨大な計算時間を要するため、関心領域を小さくする、もしくは分解能を荒くするなど、短時間で処理が可能な状態で試行回数を増やしてパラメータ調整を行う。また、2019年度に予定していた特徴量のロバスト性評価(安定した特徴量の抽出)を実施していないため、公開データベースを活用して行い、そこで抽出した画像特徴量を用いたDIRに対して精度評価を行う予定である。DIRの精度評価には既知の変位を有する物理ファントムもしくはデジタルファントムを用いて検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な支出は行ったが、予定よりも安価にデータ解析環境を構築できたため、次年度使用額が生じた。次年度は、デジタルファントムもしくは物理ファントムの検証の実施、情報収集のための学会・セミナー参加、研究成果報告のための学会発表・論文投稿にかかる支出を行う。
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