研究課題
本研究の目的はRadiomics解析を非剛体画像レジストレーション(deformable image registration:DIR)技術に応用し、より精度の高いDIRアルゴリズムを開発することである。治療期間中の腫瘍縮小や体型変化による再計画を行った場合でも線量評価を正しく行い患者個別の最適な放射線治療を提供するために、異なる体型や呼吸位相におけるCT画像間でのDIRを高い精度で行う必要がある。2022年度は、Radiomicsを用いたDIRアルゴリズムの開発を行い、その精度評価を実施した。10症例の胸部4次元CT画像において、目標画像を最大呼気相画像、被変形画像を最大吸気相画像としてDIRを行い、従来のDIRアルゴリズムとのDIR誤差を比較した。本研究では、CT画像を直接DIRするのではなく、まず目標画像と被変形画像であるCT画像をそれぞれRadiomics mapに変換した。これは画像フィルタ処理のように、局所的にRadiomics特徴量値を計算することによって、CT値からRadiomics特徴量値へと変換した。次に、そのRadiomics mapどうしにおいてDIRを行った。最後に、そのDIRによって得られたボクセルベースの画像変形量情報を用いて被変形画像であるCT画像を変形し、変形画像を生成した。結果、開発したDIRアルゴリズムは、CT画像を直接DIRする従来アルゴリズムと比較し、低いDIR誤差を示した(3次元のDIR誤差 [95th percentile] において3.98 mmに対して2.49 mm)。尚、本研究において発明したRadiomicsを応用したDIRアルゴリズムに関して、特許出願まで行った。
2: おおむね順調に進展している
Radiomics解析を応用したDIRアルゴリズムの開発に時間を要したが、精度評価と特許出願まで行うことができた。
Radiomics特徴量や画像変形量の取得方法について最適化を行い、更なる精度向上を目指す。
研究に必要な支出は行ったが、情報収集のための学会が一部オンライン開催となったため、次年度使用額が生じた。次年度は成果報告のための学会発表・論文投稿にかかる支出を行う予定である。
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Physica Medica
巻: 101 ページ: 28~35
10.1016/j.ejmp.2022.07.003