非剛体レジストレーション(DIR)の幾何学的不確かさと線量誤差の関連を評価解析するため、治療計画データ、DIRにより算出した変形ベクトル場(DVF)、およびDVFにより変形した線量分布のデータを収集、蓄積するためのデータベースを構築した。フリーのDICOMサーバーを利用して、治療計画装置/計画補助装置とDICOM通信によりデータの受け渡しを可能にした。 症例データとして、肺癌20例、肝臓・膵臓・頭頚部癌・前立腺癌をそれぞれ10例収集し、DIRによるDVFの算出、線量分布変形、積算線量の算出を行った。 DVFの誤差により各ボクセルにマッピングされる線量の変動度合いを視覚的に示すことで積算線量分布の不確実性の主観的評価は可能となったが、画像間の臓器変形程度の違いやアーチファクトの影響に依存するDIR精度の個体差により、DVF誤差および線量変動のばらつきが大きいことから許容誤差などの評価基準値を定義するには症例数を増やして検討する必要がある。 また、不確実性を加味し線量変動をエラーバーとして付加した線量体積ヒストグラム(DVH)の提示と各DVH指標の算出プログラムを作成した。CTVやPTVなどの標的体積の評価に対しては有用性があると考えられるが、リスク臓器の評価では臓器全体の体積や画像間の臓器体積の変化に対して線量変動が生じている体積の割合が小さく、標準的なDVH指標の解析では結果に現れないものが多くあり、評価方法の工夫改善が求められる。 今後、症例数を追加して解析を進めるとともに、本研究成果を基に多施設共同研究実施の検討を進める。
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