研究課題/領域番号 |
19K17168
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒須 圭太 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (60761400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二次がん / モンテカルロシミュレーション / テトラファントム / TBI |
研究実績の概要 |
放射線治療に付随する二次がんリスクを正確に評価するためには、人体の各構造物における二次がんリスク換算係数を算出する必要がある。本研究課題は従来のボクセルを基礎とした人体表現から離れ、連続四面体形状を適用することで高精度な線量計算の実現可能性を探索する。本年度も昨年度に引き続き、微細構造物と流線形構造物に対する線量計算の実施、並びにボクセルファントムとの比較を行い、線量計算の対象を連続四面体形状へと移行する意義を評価することを目的とした。 ICRP Publ. 145で提示されているMesh-type Reference Computational Phantom (MRCP) をモンテカルロシミュレーション計算へ導入し、Total Body Irradiation (TBI) を模擬した計算環境を構築した。ファントムに対して均等な線量分布を与えるために遮蔽物の厚みや材質を検討し、臨床と同等の状況を再現した。またLong SSDを用いるTBIでは粒子の統計量が不足するため、Weight Window法を導入するための適切なパラメータ値の設定を行った。MRCPへの線量計算と並行してボクセルを基礎として構築されたReference Computational Phantom (ICRP Publ.110) をシミュレーション計算へ導入し、こちらの線量計算も実施した。しかしながら精度担保された線量評価のためには多くの計算時間が必要であり、補助事業の年度内の完了が困難となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細分化された各連続四面体形状に対して線量計算の実施、線量値の算出を実施することで計算時間が通常の10倍程度必要となることが判明した。Weight Window法の導入で幾ばくの計算時間短縮を図ることができたが、使用している計算機のスペック等からも現在の構成以上の短縮化を図ることが困難であった。しかしながら、必要な計算精度まで迫っていることを確認しているため、全体として「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
算出された値のStandard Errorを許容内まで収めるために計算試行回数を増やす予定である。シミュレーション計算と並行して論文原稿執筆や学会発表準備にも取り組み、成果を学術論文や学会発表を通して迅速に報告できるように活動していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響によってオンライン参加可能な学会が増えたことにより、当初計上していた費目の支出が抑えられた。次年度は本研究課題の成果に関する議論を行うための出張経費や、学会への研究成果発表、学術論文の投稿費用に使用する予定である。
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