研究課題
本研究は、化学放射線治療を行う原発性肺癌患者に対して、DNA損傷修復や免疫チェックポイントに関連するタンパク発現を免疫組織染色によって調べ、末梢血リンパ球や血中に含まれるエクソソーム(細胞外小胞)に内包されるmRNAおよびmicroRNAの発現を解析し、放射線治療効果や放射線性肺障害を予測するバイオマーカー探索を行うことを目的としている。2019年度は、研究開始に際し院内臨床研究委員会への申請を行い、現在該当患者に対するDNA損傷修復や免疫チェックポイントに関連するタンパク、RT-PCRによる候補RNAの発現解析の準備中であった。また、肺癌の治療効果予測研究のベースとして、2017-2019年にかけて当院で根治的放射線治療を行った肺癌患者の治療成績の遡及的調査と、進行度等の臨床因子やDose Volume Histogram上で算出される肺V20やV5、Mean Lung Doseなどのパラメータと放射線治療効果、放射線肺障害との関連性についての解析を進めている。我々の研究グループの先行研究で既に他の癌腫で行っているDNA損傷修復および腫瘍免疫に関わるタンパクの免疫染色を用いた治療効果予測と、臨床的パラメータでの治療効果または有害事象予測、そしてリキッドバイオプシーから得られたバイオマーカーを組み合わせることで、原発性肺癌の放射線治療における個別化の向上が得られるかどうか検討していく。
3: やや遅れている
本研究における院内臨床研究委員会での承認申請中であり、リキッドバイオプシーを用いたバイオマーカー検索が現段階では実現できていない。臨床的パラメータと放射線肺障害との関連性については複数解析されており、今後リキッドバイオプシーで絞り込まれた有用なマーカーとの関連性について引き続き解析検討していく。
院内臨床研究委員会承認後、①肺癌生検検体におけるDNA損傷修復タンパク(XRCC4、Ku70、DNA-PKcsなど)および免疫チェックポイントに関わるタンパク発現(PD-L1、PD-1、CD8、FoxP3など)の免疫組織染色解析、②血清中からのエクソソーム抽出とmRNA/miRNA分離および定量化を進めていく。また、遡及的調査で解析を進めている患者の臨床パラメータを参考に、リキッドバイオプシーで絞り込まれたマーカーとの相関性についても検討する。
(理由)今後サンプル収集を行う予定であり、一部の試薬や測定キットの購入を次年度に見合わせたためである。(使用計画)前年度に購入しなかった試薬を購入し、その他は概ね計画通りに使用する。
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