研究課題/領域番号 |
19K17178
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
信太 圭一 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40623286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRI / 入院期間 / 予測 |
研究実績の概要 |
本研究では、頭部腫瘍手術を実施した患者の入院早期に実施されるMRI画像と臨床情報をもとに深層学習を用い、入院期間の予測をすることである。検査画像を用いて、入院期間の予測など病院指標に関わるものを予測した研究はされていない。画像を診断のみならず、入院期間の予測に使用することは、治療・看護計画にも寄与することが出来るようになる。入院長期化の可能性を正確に知ることが出来れば、効率的に予防策をとることができ、結果的には医療費抑制に貢献することが出来る。 初年度においては、画像収集、診療内容の把握を行い、総合病院情報システムから必要な情報を抽出することとした。データセットは鹿児島大学病院からの提供を受け、対象期間内に脳腫瘍で手術した患者とした。入院時の血液検査結果、生化学検査結果の項目に欠損があるものは除外した。対象となったデータ数は60であった。また、画像検査はMRI画像を用い、横断像のT2強調画像を取得した。 深層学習を実施するための環境として、グラフィックボード搭載のパソコンと、プログラミングソフトとしてmatlabを導入した。深層学習の手法は、事前学習済みネットワークのAlexnet、squeezenetを用いた。また、血液検査結果、生化学検査結果の項目による入院長期化の予測は機械学習にて行った。 結果、MRI画像による予測の結果、accuracyは0.750、0.833であった。機械学習の結果は0.721であり、MRI画像を用いた予測が若干ではあるが、精度が良い結果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度においては、画像収集、診療内容の把握を行い、総合病院情報システムから必要な情報を抽出することとしていた。 脳腫瘍で手術した患者の生理検査、生化学検査の値、年齢、性別、腫瘍の大きさや種類を用いて入院期間を予測する先行研究があったため、本研究の対象は脳腫瘍で手術したを患者とした。入院時の血液検査結果、生化学検査結果の項目に欠損があるものは除外し、MRI検査を実施しているデータを収集した。対象となったデータ数は60となった。MRI画像は24枚1セットで収集し、画像の種類については、T2強調画像、FLAIR画像、造影T1強調画像を収集することが出来た。また、深層学習の環境を構築し、データ入力をすることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めるにあたって3つの課題があった。一つ目の課題として、MRI画像は24枚で1セットであった。この画像セットをどのように入力するかを検討する必要がある。本年度では、24枚を1つの画像に結合して入力したが、24枚を1枚の画像にしたため、画像サイズが小さくなり、十分な情報量を得ることが出来ていない点である。今後は画像の特徴量を抽出して結合して、入力することを検討している。 二つ目の課題として、MRI画像のみ入院期間の予測、血液検査、生化学検査の入院期間の予測の結果を比較したが、十分な予測精度を得ることが出来なかった点である。今後の検討として、MRI画像に血液検査、生化学検査のデータを付与して、予測精度を向上する必要がある。 三つ目はMRI画像のコントラストの違いによる入院期間予測の精度を行っていない点である。MRI画像はコントラストによって腫瘍の見え方が異なるため、コントラストの種類によって予測精度が異なるか検討する必要がある。 今年度は上記の三点について研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費として、研究初年度に深層学習ソフトの購入と保守点検料を見込んでいたが、保守点検料は次年度になったことが挙げられる。 使用物品として、ノートパソコンは当該年度使用する機会がなかったため購入を見送り、次年度購入予定とすることとした。
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