肺アスペルギルス症は,肺の慢性感染症である.肺構造を破壊しながら空洞と菌球を形成し,大量喀血をきたすことがあり,致死率は11-50%と報告されている.ゼラチンスポンジ細片や血管塞栓用球状塞栓物質(ビーズ)を注入して止血効果を得る気管支動脈塞栓術は短期的な有効性が確立されているが,1年後には半数以上で再喀血する.現行の塞栓物質では長期的な止血効果・抗真菌効果が見込めないため,新たな機能を有する塞栓物質の開発を行った.本研究では,抗真菌薬・油性造影剤・生分解性ポリマーを用いた新規の薬剤溶出性塞栓物質(Drug-eluting beads: DEB)を作製し,工学的特性と抗真菌作用の確認を行った.
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