研究課題/領域番号 |
19K17182
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
宮田 真里 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (00721771)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / MRI / 磁化率イメージング / 磁化率強調像 / 定量的磁化率マッピング / 位相差強調画像化法 |
研究実績の概要 |
本研究では、近年開発されたMRIの磁化率イメージングを用いて、アルツハイマー病 (AD) とならぶ三大認知症の一つであるレビー小体型認知症 (DLB) に特徴的な所見とその意義、臨床的有用性を明らかにする。DLB、AD、パーキンソン病 (PD) 、健常者に対して、磁化率イメージングの元画像 (3D flow-compensated multi-echo spoiled gradient echo sequence) を撮像し、磁化率強調像 (SWI) 、定量的磁化率マッピング (QSM) 、位相差強調画像化法 (PADRE) の再構成を行った。 昨年度、および本年度得られた画像から、健常者と比較し、PADREではDLBの視放線に異常所見を認めた。この異常所見は、DLBの特徴的な臨床所見の1つである「幻視」症状と関連し、より高精度なMRIによるDLBの診断だけでなく、幻視の病態解明に寄与する可能性ある。本検討結果は昨年度国内学会で発表し、現在論文を投稿中である。さらに、昨年度はQSMを用いて幻視と関連する視床枕の異常信号を明らかにし、学会発表を行った。本検討は現在論文執筆中である。 引き続き症例を蓄積し、各磁化率イメージングで認める異常所見の特徴をDLBと健常者、あるいはDLBや他の鑑別を要する疾患(PDやADなど)と比較しながら観察し、病理学的・解剖学的変化の推定・考察を継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の症例蓄積を予定していたDLBとPD、ADの各20例、健常者15例に対して3D flow-compensated multi-echo spoiled gradient echo sequenceの撮像を達成した。画像が得られた症例から順次SWI、QSM、PADREの再構成を行い、正常者とDLBを比較した。2019年にDLBに特徴的と思わる所見について学会発表を行い、現在1編を論文投稿中である。さらに1編論文を執筆しており、2021年度中の投稿を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度学会報告を行った研究成果について論文を作成し、順次投稿する。また、2021年度もDLB、PD、AD、健常者の撮像を継続し、SWI、QSM、PADREの再構成を順次行う。過去撮像された画像と併せて順次評価を行い、学会発表と論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナ感染症の蔓延により、参加を予定していた学会がすべてWEB開催となったため、出張旅費の支出に余剰が生じた。 令和3年度は国内外 (日本認知症学会、日本磁気共鳴医学会、米放射線学会)で 情報収集や成果発表のために学会参加費を必要とする。その他、研究成果を専門学術雑誌に掲載するために、英文校正費用や投稿料および、研究経過の記録などのための印刷費、複写料が経常経費として必要となる。
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