研究課題/領域番号 |
19K17192
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
金井 貴幸 山形大学, 医学部, 助教 (40764139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 粒子線治療 / 適応放射線治療 / MR画像誘導放射線治療 / 畳み込みニューラルネットワーク / Cone-beam CT |
研究実績の概要 |
粒子線治療は、現在の主流であるX線治療と比べ、腫瘍に限局した線量分布を作成することが可能である一方、治療期間中の患者の体型変化や腫瘍の縮小・増大、及び照射途中に生じる体内臓器の移動による影響を受けやすい。本研究は、治療期間中及び照射途中に生じるこれらの変化を考慮する「適応粒子線治療」の実現に向け、cone-beam CT (CBCT) 画像及びMRI画像から、粒子線の線量分布計算に不可欠である阻止能比の推定方法を確立することを目的とする。方策としては、①領域分割を用いた手法、②画素値変換に基づいた手法、③アトラスと非剛体レジストレーションを用いた手法、④畳み込みニューラルネットワークを用いた手法の4手法を用いてMRI画像またはCBCTから阻止能比分布を算出し、それぞれの精度を包括的に評価、比較する。中でも、近年注目されている畳み込みニューラルネットワークによる変換方法は、高速かつ高精度な変換が期待される。 2021年度は、昨年度までに開発した高精度な畳み込みニューラルネットワークを用いた場合、実際の粒子線治療においてどの程度の誤差が生じるかを検証した。約50 mm以下の浅い領域であれば飛程の誤差は1 mm以下に収まり、浅い領域には十分利用可能な精度であった。また、粒子線の飛程と飛程の誤差の関係を調査したところ、通常両者は線形であると仮定するのが一般的であるが、両者の関係が非線形であるということが判明した。これらの成果は2022年4月に日本医学物理学会にて発表するとともに、Precision Medicine誌 (Vol.5 No.1, 2022) に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は臨床的な影響の評価に重点を置いて研究を進めたため、頭頚部などの骨盤以外の部位への適用の検討およびファントム実験などを実施することができず、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部などの他の部位についても検討を進めるとともに、より多くの部位に適用可能なニューラルネットワークが開発可能か検討する。また、実際の臨床利用を考慮し、異なるMRI装置で同一の畳み込みニューラルネットワークが使用可能かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
GPU (グラフィックプロセシングユニット) は畳み込みニューラルネットワークに必須の計算機ユニットであり、このユニット内のメモリ容量によって計算可能なデータ量が制限される。そこで、メモリの拡充を目的としてGPUの追加を検討しており、その購入費用が必要となる予定である。その他、研究成果を発信するための旅費や論文投稿費用に研究費を使用予定である。
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