研究課題/領域番号 |
19K17193
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
近藤 達也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30821813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | cine MRI / 運動解析 / 膝関節 / 膝蓋腱 |
研究実績の概要 |
軟骨のすり減りや靱帯の損傷が関節の痛みの原因になるため,バイオメカニクスの解析として軟部組織を評価することが必要である.これまで光学カメラやX線を用いた運動解析における軟部組織の評価は骨運動を基準にした推定により行われてきた.運動解析にMRIを利用する利点は軟部組織を描出できることや放射線被ばくがないこと,基本となる最小データの収集時間の短さなどがあげられる.一方で,MRIの限られた撮像範囲では骨全体を撮像することが困難であり,膝関節のみの撮像で画像解析が行われるため,骨座標系の定義が測定者ごとに異なることも問題となる.本研究の目的はMRIの2D multi slice cineの連続撮像を応用した新しい3次元運動解析の手法を構築することである. 本年度は健常ボランティア9名を対象にMR撮像を行い,解析に必要な画像を取得した.また,自作の解析プログラムの最適化を行った.本研究で構築するMRIを用いた関節運動解析法は,運動中に撮像した2D multi slice cine画像と静止中に撮像した3D画像のイメージレジストレーションで解析を行う手法である.軟部組織の評価として,膝蓋腱を対象にした解析を行い,大腿四頭筋の緊張の有無に着目し,膝蓋腱の長さ変化を測定した.短時間の撮像が可能な2D multi slice cine撮像を利用し,長時間の維持が困難な最大努力伸展位における膝蓋腱の変形を評価した.膝蓋腱は大腿四頭筋の脱力時に緩み,大腿四頭筋の緊張時には最大で7%程度伸びた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は運動中に撮像した2D multi slice cine画像と静止中に撮像した3D画像のイメージレジストレーションを行うプログラムの最適化を行うこと,MRIの撮像条件を検討すること,対象靱帯の検討を行うことを予定していた.解析プログラムの最適化と膝蓋腱を対象にした解析を予定通りに行った.また,下肢全長を用いて骨座標系を構築できるようにするため,複数回に分割して下肢全長のMR画像が取得できるように撮像条件を検討した.現在,CTを基準にして,MRIで作成した骨座標系の精度検証を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでにMRIを用いた運動解析法として,膝関節周囲の画像を用いた解析を行ってきた.現在,下肢全長を用いた解析に拡張するため,複数回のMR撮像から下肢全長のMR撮像を取得し,下肢全長から作成する骨座標系の精度検証を行っている.CTを基準として比較するため,被ばくの観点から牛骨を用いた撮像を行い,今後,検証を進めていく予定である.
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