膝関節の運動解析は,骨座標系を基準にして行われる.骨座標系は対象とする骨形状の特徴点を用いて構築する.骨形状の特徴点は骨全長から定義することが望ましいが,MRIの撮像範囲は限定されるため,骨全長を含むMR画像を1度の撮像では取得できない.骨全長のMR画像を取得するためには,検査台を移動させて行う複数回の撮像が必要になる.複数回の撮像で取得したMR画像を用いて骨座標系の構築をするとき,画像歪みや検査台の移動による影響が懸念される.しかし,これまでに合成処理をしたMR画像を用いた骨座標系に関して,精度検証は行われていない.そのため,牛大腿骨とプラスチック格子を用いた実験を行い,MR画像の合成処理で取得したMR画像の歪みを測定し,大腿骨座標系の構築に与える影響を検討した.結果として,合成処理をしたMR画像の歪みは1%以下であり,大腿骨座標系の構築に与える影響は小さかった.合成処理をしたMR画像を用いて構築した大腿骨座標系は,CT画像から構築した大腿骨座標系と同定度の精度であることを示した.また,牛大腿骨を用いて2D multi slice cine画像と3D画像のイメージレジストレーションの精度について検証を行った.2D MR画像は運動中に撮像することを想定し,短時間撮像で取得した.結果は,スライス面内では1 mm以内,スライス方向では2 mm程度の精度であった.
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