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2019 年度 実施状況報告書

膵臓がん細胞株Panc-1における IL-6による放射線抵抗性獲得機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K17195
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

玉利 勇樹  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20794944)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードインターロイキン6 / 放射線抵抗性
研究実績の概要

本研究ではインターロイキン6(IL-6)による活性酸素種抑制を介したがんの放射線抵抗性獲得のメカニズムを明らかにし、生体内でのがんに対するIL-6の影響を明確にすることを目的としている。
細胞はヒト膵臓がん細胞由来細胞株Panc-1を使用した。ソフテックス社製軟X線発生装置を使用して4GyのX線を照射した。
ELISA法を用いてPanc-1の培養液中のIL-6濃度を測定したところ、検出限界以下であった。X線を照射した場合も培養液中のIL-6濃度が上昇することはなかった。コロニー形成法を用いてX線を照射した場合の細胞の生存率を調べたところ、組み換え体IL-6を添加した場合に細胞の生存率上昇がみられ、放射線抵抗性を獲得していることが判明した。さらに、この放射線抵抗性獲得はIL-6の濃度依存的に増大することが分かった。IL-6中和抗体を投与した場合は、放射線抵抗性獲得がみられなかった。IL-6による放射線抵抗性獲得のメカニズムについて調査するために、蛍光プローブであるAPFとMitosox Redを用いて細胞内の活性酸素の変化を調べた。APFは細胞内のヒドロキシラジカルやパーオキシナイトライトなどを検出し、Mitosox Redはスーパーオキシドを検出することが可能である。この結果、X線を照射したPanc-1では細胞内活性酸素量が増加し、組み換え体IL-6を添加することによって細胞内活性酸素の上昇が抑制されるということが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

科研費採択直後に所属が変更になり、新しい所属先では実験できる環境が一切なくなってしまったため実験を進めることが困難となった。8月以降はクロスアポイントメント制度により元所属の京都大学複合原子力科学研究所への通勤が可能となったが、週2回の制限があり、思う様に実験が進んでいない状況である。さらに3月からは新型コロナウイルスによる京都大学複合原子力科学研究所の実質的な閉鎖処置がとられ全く実験ができていない。さらに実験機器の老朽化による故障もあり本研究の進捗は遅延している。
実験としてはELISA法によるIL-6の定量、コロニー形成法による放射線抵抗性の確認、細胞内活性酸素の定量を行った。

今後の研究の推進方策

Panc-1はIL-6の産生能力がほとんど無いため、組み換え体IL-6を添加して実験を行っていく。ウエスタンブロッティング法によりIL-6下流のタンパク質について調査する。IL-6による細胞内酸化度の抑制が確認されたため、ミトコンドリア機能についての分析も行っていく。鶏卵腫瘍移植モデルの作成も進めていく予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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