研究課題/領域番号 |
19K17196
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河井 可奈江 (三宅可奈江) 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60812641)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 乳癌 / エストロゲン受容体 / FES / PET |
研究実績の概要 |
乳癌においてエストロゲン受容体は乳癌細胞の増殖に関わる分子で、乳癌の約6割に発現し、薬物療法の中核をなす内分泌療法の標的分子である。エストロゲン受容体に対するポジトロン断層像(Positron Emission Tomography:PET)のトレーサーとして、エストラジオールの類似体の16α-[18F]-fluoro-17β-estradiol (FES)が開発されている。FES-PET検査は全身のエストロゲン受容体の発現を体外より一度に描出することができる検査として、現法の免疫染色や遺伝子検査に比べて侵襲性・簡便性で優れていると期待される。本研究ではFES-PETのエストロゲン受容体描出能を明らかとし、さらにFES-PETが乳癌患者において臨床的意義をもつのか検証を行う。FESの導入は当施設では初めてであり、初年度は、FES製剤の準備から開始し、合成消耗品・必要物品を購入した。しかしながら予定していたFES製剤の合成・品質検証については、当院核医学部門の移設においてサイクロトンの稼働が遅れたため、次年度に行うこととした。当院では令和2年に、PET/CTに加えて新たにPET/磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)、乳房専用PETが導入される予定であり、これらを利用した乳癌患者のPETプロトコールの検証を行った。また、PETの乳房・乳癌の集積に関する読影方法について、既存のフルオロデオキシグルコース(fluorodeoxyglucose:FDG) PETのデータより集積形態に関する詳細なレキシコンを構築し、これをFES-PETに応用することとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院核医学部門の移設と新型コロナ問題等による関係者立入制限等があり、予定よりサイクロトンの稼働が遅れ、予定していたFESの合成が完了しなかった。PET/MRIや乳房専用PET装置に関しても、設備の整備が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
設備の稼働が始まり新規PET製剤の合成が可能になれば、まずはFESの合成と品質チェックを完了させる。また、当院で新たに稼働するPET/MRI、乳房専用PET装置のプロトコルの調整も同時に進める。その上で、倫理委員会の承認を得た研究計画に沿って、乳腺外科と共に患者登録を開始する。現状、covid-19感染拡大の影響で患者登録が難しくなっているが、なるべく実現可能な形を模索する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の実施が計画よりやや遅れているため。
|