研究課題
食道癌でも、単一腫瘍内の多様なサブクローンのうち特定のクローンが治療に耐え再発に至ると予想され再発に関わる遺伝子変異の同定が望まれるが、通常の生検は腫瘍の部分的な評価に過ぎず、少ないサブクローンは物理的に評価困難である。この克服に向け、癌細胞から血中に漏出する循環腫瘍DNAを用いた腫瘍の包括的評価が見込まれる。本研究では食道扁平上皮癌の化学放射線治療(CRT)後再発例において、治療前/再発後のマルチサンプリングの腫瘍遺伝子解析結果から、CRTによって濃縮された変異遺伝子を抽出し癌パネルを作成し、経時的に採取した血漿検体において、このパネル実装性の検討と再発関連遺伝子の同定を行とリキッドバイオプシーでの検証を勘案した。昨年度までの検討においては、感受性群特異的変異遺伝子(EP300 など)と抵抗性群特異的変異遺伝子(NOTCH1等)を同定していたが、今年度さらに既存のゲノム解析を進めた結果、食道癌CRT後の再発ではMYCの増幅がfounderイベントとなっていることを報告した(Hirata H, Motomura Y. et al. Cancer Res, 2021) さらにこの結果を受けて、検出標的遺伝子の更なる検討のため、免疫微小環境に着目して感受性群と非感受性群でのRNA-seq解析により遺伝子発現差異解析をすすめた。その結果、放射線治療感受性群ではM1マクロファージが多く、また治療抵抗性群ではがん関連線維芽細胞(CAF)が有意に多い結果であった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
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