研究課題
光音響イメージングによるリンパ管の描出法や、画像診断の体系を確立することを目指し、2019年度には以下の研究に取り組んだ。1 ファントム試験: 内径0.1から1.0mmのシリコンチューブにヒトアルブミン製剤を溶媒とするICG溶液を容れて撮影を行った。ICGは5mg/mLを原液とし、各濃度に希釈して、それぞれについて撮影を行った。浅いイントラリポス内における観察において、1000倍に希釈されると、赤外線カメラによる蛍光観察では検出できたICGが、光音響イメージングでは検出されなかった。2 臨床試験: 蛍光観察において、ICGの注射後 数分以内の早期に出現したdermal backflowは、光音響イメージングでも明瞭な3次元の網状像として描出される傾向を認めた。反対に、数十分以上を経過してから出現したdermal backflow(主にいわゆるdiffuse pattern)については、光音響イメージングでは描出されない傾向をみとめた。集合リンパ管の存在を示唆するlinear patternについても同様の傾向を認め、蛍光観察で認められたlinear patternについては光音響イメージングでも描出された。蛍光観察ではdermal backflowによって観察が困難な場合においては、光音響イメージングでのみ観察可能な集合リンパ管が見られた場合もあった。3 画像解析: ICGの注射後 早期における蛍光観察画像は、光音響イメージングにおける比較的深部の画像に近い傾向を認めた。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画通りに研究を実施しており、実績も見られている。
新型コロナウイルス感染症の流行の影響で臨床研究が中断されている状況であるが、再開され次第、被験者を増やして、多様な条件における相関関係について評価する。
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件)
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