ペプチドは高い標的認識性を有し、核医学領域でも診断用・治療用のプローブとして有効である。一方で、生体内での不安定性が動態に影響すること、放射標識後の精製が困難であることなど中分子であるペプチド特有の性質が診断薬・治療薬の開発難度を高めており、有効な動態制御法、精製法の確立がペプチド性プローブ開発の発展に不可欠である。本研究では、不安定ペプチドの架橋による分解制御に着目し、「架橋構造のスクリーニングによる動態制御」と「放射標識によるペプチド安定化」の二点を特徴とした新たなペプチドプローブ開発法を提案し、ペプチドが直面する動態制御の困難さ、放射標識後の分離精製の問題点の解決を目指す。 昨年度までに1.架橋前では生体内安定性の低いGLP-1 (Glucagon like peptide-1) 2.架橋前では標的親和性を示さないRGD(Arg-Gly-Asp)の二つのペプチドをモデルとして設定し、両ペプチドを低分子構造により架橋したプローブを設計し、有効性評価を進めてきた。今年度は、1については、安定化したGLP-1(GLP-1CL)について、放射標識法の最適化を行い、得られた放射性ヨウ素標識体[125I]GLP-1CLのインビトロ実験、インビボ実験を行った。得られたデータからその有効性についての成果発表を国内学会にて行った。2については、RGDペプチドを架橋した構造である二環性ペプチドに対して、核医学治療への応用を見据えて、長期滞留性を付与可能なアルブミン結合性分子の修飾を行い、インビトロ実験、インビボ実験を行った。得られたデータからその有効性についての成果発表を国内学会にて行った。
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