| 研究課題/領域番号 |
19K17213
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| 研究機関 | 近畿大学 |
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研究代表者 |
田村 命 近畿大学, 医学部, 助教 (60810968)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | フォトクロミックフィルム / ジアリールエテン / 医用放射線 / 放射線線量計 / X線 / 電子線 |
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| 研究実績の概要 |
医療におけるフィルムの線量測定は、放射線治療における2次元線量分布の測定や放射線診断も含めた個人の被ばく線量の管理などに用いられる。現在、一般的に用いられているラジオクロミックフィルム(RCF)は、現像処理を必要とせず、明室下においても切断処理や加工が可能、実効原子番号も人体軟部組織に近く、エネルギー依存性が小さいといった利点がある一方、高価であることや、結果取得までに照射後数時間から24時間要するといった大きな欠点がある。
フォトクロミック分子による化学反応で、X線の線量に対して可視化できる色素が本邦で開発された。本研究では、医療に特化した新規フォトクロミックフィルムの開発と臨床への実用化を目的とする。本年度は、フォトクロミックフィルム分子の一つであるジアリールエテン(DAE)を用いて、新規DAEフィルムを作成、kV X線に対して感度を持ち、放射線線量と蛍光量の間には強い相関を持つことを示した。照射後、即座に結果を取得できるため、DAEフィルムの放射線量行き及びkVオーダのγ線を用いた小線源治療に適用できる可能性を示した。この結果と開発経緯を論文にまとめ、現在英文誌に投稿中。また、MV X線に対しては、DAEフィルムは感度が低く、放射線量に階調を持つことが確認できていなかったが、フィルムに塗布する液体の状態にて、放射線線量と蛍光量の間には強い相関を持つことを明らかにした。さらに、MeVの電子線に対しても、直線的な階調を持つことがわかった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DAEフィルムの放射線診断領域における適用の可能性について、現在論文投稿中である。MVオーダの放射線(X線・電子線)に対して、フィルムのベース層に薄く塗布するの前段階の液体DAEにて感度を持つことを確認した。しかし、感度はkVのものよりも低く、金属を液体の周囲に巻いても感度の向上は確認できなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
放射線治療領域におけるMVオーダのX線及び電子線に対して、DAEフィルムに感度を持たせるため、フィルム構造の一つである増感剤に何を用いれば感度を向上させられるのかを検討する予定。感度を向上させて、2次元線量分布を測定する予定。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
COVID19により、学会への参加ができず、産学連携を行なっている企業との開発も滞ったため。次年度にて、開発のための材料費や加工費として使用予定。
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