研究課題/領域番号 |
19K17214
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 啓太 京都大学, オープンイノベーション機構, 特定准教授 (70565663)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MRI / 海馬 / 大うつ病 / VBM / Connectome |
研究実績の概要 |
1. 健常者79名と大うつ病患者77名を対象にstructural covariance networkの手法を用いて比較を行った。従来のresting state functional MRIを用いた network解析で解明されているdefault mode networkやsalience network、central executive networkの他に、海馬を中心としたmedial temporal networkの異 常が大うつ病に関与していることが判明した。
2.上記の症例において、海馬内を1mm未満のvoxel単位にてstructural covariance networkの手法を用いて評価することで、海馬内のnetworkを描出した。その 結果、大うつ病では,1. bilateral hippocampal tail (Cornu ammonis (CA) 1-3)、2. right hippocampal tail (CA1-3)―Bilateral hippocampal body (Dentate gyrus-CA4)、3. bilateral hippocampal body-tail (CA1)において、networkが障害されていることが判明した。我々の知る限り、voxel単位で海馬内 のnetworkを検討したのは本検討が初めてであり、大うつ病では海馬の左右を連絡するnetworkに障害があることが判明した。
3. structural covariance networkの手法を用いて、大うつ病における脳内ネットワークの異常と炎症性サイトカインの1種であるTNF-αとの関連性を検討し、大うつ病における前頭葉を主体としたネットワークの異常に炎症性サイトカインが関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の収集およびデータ解析が終わり、論文の作成を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
大うつ病における海馬内ネットワークの異常をMRIを用いて、検出を行えた。 今後は大規模な健常者データベースを用いて、健常者における海馬内networkの解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、出張計画に変更が生じたため。
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