1. 健常者79名と大うつ病患者77名を対象にstructural covariance networkの手法を用いて比較を行った。従来のresting state functional MRIを用いた network解析で解明されているdefault mode networkやsalience network、central executive networkの他に、海馬を中心としたmedial temporal networkの異 常が大うつ病に関与していることが判明した。 2.上記の症例において、海馬内を1mm未満のvoxel単位にてstructural covariance networkの手法を用いて評価することで、海馬内のnetworkを描出した。その 結果、大うつ病では,1. bilateral hippocampal tail (Cornu ammonis (CA) 1-3)、2. right hippocampal tail (CA1-3)―Bilateral hippocampal body (Dentate gyrus-CA4)、3. bilateral hippocampal body-tail (CA1)において、networkが障害されていることが判明し、大うつ病では海馬の左右を繋ぐnetworkに異常があることを、初めて明らかにした。また、海馬内networkから大うつ病と健常者を鑑別するための予測モデルを構築したところ、正確度78.1%で鑑別できた。 3. structural covariance networkの手法を用いて、大うつ病における脳内ネットワークの異常と炎症性サイトカインの1種であるTNF-αとの関連性を検討し、 大うつ病における前頭葉を主体としたネットワークの異常に炎症性サイトカインが関与していることを明らかにした。
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