研究課題/領域番号 |
19K17216
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
大田 淳子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院, 研究員(任常) (90825001)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 深層学習 / 機能的MRI / 超解像 / 畳み込みニューラルネットワーク / 画像 / 医用画像処理 / 機械学習 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は、以下の2点であった。 (1)従来の非侵襲的な検査では困難であった高精度な脳機能の弁別を可能にする、新たな高解像度fMRIを開発すること。(2)ヒトを対象としたボランティアの撮像・解析により、臨床的有用性を評価すること。 当初の研究計画では、2019年度には、高解像度fMRI手法の開発を到達目標とした。具体的には、fMRIの元画像と類似したコントラストを持つT2*強調画像を用いた、fMRIのための高解像度化手法を検討することと、高空間解像度の脳機能マップを作成することを計画していた。 2019年度は、fMRIを撮像した被験者のT2*強調画像の低解像度画像と高解像度画像の対応関係をSRCNNやSRResNet,ESPCNなど主にCNNを用いた超解像手法を検討してfMRIのBOLD画像を高解像度化し、高解像度脳機能マップを作成する手法の基盤をある程度確立した。10数例のボランティアを対象とし前述の手法の性能を評価した結果、提案手法を用いることで、手指の運動機能が従来のfMRIと比較して弁別能が向上する傾向が得られた。この基礎的検討の成果は国内学会で発表した。また、2020年以降に50例の実施を予定していたボランティアスタディでは、2019年度中に30例以上の撮像をすでに完了している。学会発表後に解析が終了した症例分については、学会発表で報告した傾向とは異なる症例もいくつかあり、症例ごとのfMRIのタッピングタスクの精査、解析手法の再検討、趙解像手法の見直し等を引き続き行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初2020年度以降に予定していたボランティア撮像が50例中30例以上の撮像が既に完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、現在すでに撮像を終えている症例の中で提案した高解像度手法の有用性を評価した基礎的な検討に関する論文化を進める。 2019年度中の検討で、うまくいかない症例には、そもそもタッピング課題がうまくいっていない症例、撮像中の被験者の動きが起因し、提案手法を適用すると脳機能情報が消えてしまう症例、学習はうまくいっているものの、BOLD画像の高解像度化が運動機能の分解能向上に寄与していない症例があり、fMRIの課題遂行の方法、深層学習における学習方法のさらなる検討、脳機能解析手法、機能分解能の評価方法の観点からの症例ごとの詳細な検討を行っていく。 ボランティア撮像に関してはさらに症例数を増やし、よりロバストな高機能分解fMRI検査を実現できるように最適化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に購入を予定していたディープラーニング用ワークステーションは、他研究課題で獲得した予算で購入したワークステーションと共同で利用することができたため、設備投資の使用額が減った。繰り越した予算は、膨大に生成される画像保存のためのハードディスクと、計算速度向上のためのグラフィックカード増設、論文投稿料、英文校正費に当てる。次年度使用予定分に関しては、当初の計画通りの用途で使用する予定である。
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