fMRIは脳機能を可視化するツールとして用いられているが、空間解像度は構造的MRIと比較すると相対的に低い。空間解像度の高いfMRIを撮像するためには、時間分解能の制約があり困難である。また、深層学習などの機械学習法を用いて空間解像度を向上させる方法を用いることができれば、撮像後に空間解像度を向上させることが可能だが、学習の教師となる空間解像度が高い理想的なfMRI画像を準備するのが困難である。
本研究課題では、T2*強調画像(T2*WI)はfMRIと同様にエコープラナーイメージングにより取得されるため、画像コントラストが類似している点に着目し、新たな高解像度fMRIを提案した。具体的には、健常ボランティア30名を対象とし、各被験者ごとにT2*WIを学習した超解像処理モデルを用いて、T2*WIを学習した被験者のfMRIに対して超解像処理を適用することで、撮像時間を延長することなく空間解像度の高いfMRI画像を得た。超解像モデルを構築するための機械学習法には、敵対的生成ネットワーク(GAN)を採用した。提案手法の有効性は、超解像処理後のfMRIから作成したActivation mapから異なる2本の手指のタッピング運動中に活性化している脳部位を検出し、その2本の手指の活性化部位の弁別能をDice係数を用いて評価することによって評価した。その結果、提案手法を用いた方が超解像処理前よりもDice係数が有意に小さい値を示し、2本の異なる手指の弁別能が向上する可能性が示された。
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