研究課題/領域番号 |
19K17218
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中村 哲志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理専門職 (20638374)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | BNCT / 薬剤分布 / 線量分布 / 腫瘍内不均一性 |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は原子炉での良好な成績が注目され、加速器を使用した病院併設型のシステムとして導入され始めている。しかし、他の治療法と同様に臨床選択されるには課題が存在し、その最も重要な一つとして「BNCTでの治療効果の予測が適正に出来ていない」ことが挙げられる。それゆえに、現在のBNCTはリスク臓器の耐容線量を照射することで実施されている。BNCTで主に使用されるホウ素薬剤はアミノ酸誘導体であり、代謝を利用して腫瘍へ取り込ませている。そのため、腫瘍内のホウ素濃度が不均一さやホウ素濃度がBNCT中に時間変化することなどが考えられ、1) BNCT時の腫瘍の治癒線量が不確かであり、2)実際に腫瘍へ照射される線量が不確かである。これらを解決し、治療前に治療効果を予測するには、治療成績と腫瘍及び正常組織へ付与された線量との相関関係を評価する必要がある。本研究の目的は、BNCTの治療効果の予測できるデータを集め、定量性のある治療効果予測方法の構築を行うことである。 研究実績としては、ホウ素の体内分布を18F-BPA PET画像から取得し、それをBNCTの線量分布計算に反映する方法を開発した。この研究実績について特許出願を令和5年6月26日に行った。また、後ろ向き研究として、当院で18F-BPAを実施した患者について、開発した技術と従来法による線量分布計算/評価をともに実施し、比較した。その結果、従来法の線量評価法では、過剰評価されている可能性が示唆された。この内容については、国際学会で演題が採択され、2024年度発表予定となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開発した成果を昨年度に特許出願し、その有用性について2024年度国際学会で発表する予定である。 また、得られた成果を英文査読付き雑誌に投稿を予定しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、研究開発により得られた技術を適応した場合の患者データ数は20名程度であるため、対象患者数を増やして、統計解析を十分確保できるデータ数をそろえる予定である。その結果、がん種などに依存しているかなどを詳細に検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度まで研究が継続され、必要な経費が発生するため。
|