研究実績の概要 |
がん診療において,超早期診断や個別化治療の実現化が期待されている。肝腫瘍に対する治療は, 外科的切除術・全身化学療法・IVR(interventional radiology)などがあり,病態により治療法が選択されている。しかし、同じ癌腫であっても腫瘍それぞれで悪性度は違い、治療方針の選択に難渋することも多々ある。 本研究の目的は、分子イメージング手法を基礎としたMRI画像を用いて不均一性を定量的に評価し、得られた画像情報で早期治療効果予測や治療効果判定を行い、悪性度や予後の評価を行うことである。 2019年度に作成したデータベースに基づいて、2020年度はMRI撮影画像と病理画像とを照らし合わせて評価した。具体的には、病理標本の線維化や壊死・細胞成分を評価してMRI画像との相関について評価した。当初の仮説では病変の線維成分と相関して、MRI画像の造影率が反映されるであろうとの予想をしていたが、あらゆる条件でも相関は確認できなかった。 病理画像の情報を解析し、病理組織内の変化がどのようにMRIでの画像情報として表現されるかを明らかにすることは臨床的に大きな意味を持つと考えられたが、MRI画像を構成する成分を病理学的に証明することは困難な可能性が示唆された。 病理画像とMRI画像の相関を詳細に解析することは、悪性度評価の病態解明のために重要と考えられる。今後は線維化や壊死だけではなく、免疫学的な評価など多角的な視点で評価する必要があると考えられ、臨床情報と対比しながら評価の追加を今後は検討する。
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