研究課題/領域番号 |
19K17228
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
奥村 健一朗 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30743447)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 造影剤腎症 / 腎虚血再灌流 / 腎臓組織酸素飽和度 / ヨード造影剤 |
研究実績の概要 |
造影剤腎症モデルラットの作成を試みた。インドメタシン及びL-NAME投与により背景腎障害が造影剤による腎症誘発リスクを上昇させ、造影剤を経静脈的投与及び経動脈的投与いずれかに分けてその発生程度を評価した。すると、経静脈的投与で誘発された腎障害が、造影剤の経動脈的投与ではさらに重篤な腎障害が誘発されたり、あるいは死亡に至るようであった。 それを確認した上で、ハイドレーションとして造影剤投与直後に直接腎動脈からのハイドレーションを試みたところ、造影剤腎症程度が弱まった。具体的には腎動脈から造影剤を投与した場合であっても、静脈から投与した場合と同程度にまで減弱したようであった。 これはfirst-passによる影響が減弱してsecond -passの影響になったようであった。効率的なハイドレーションにより、心不全に至リスクも減らせる可能性があり、非常に有用であった。 それとともにこの結果は造影剤腎症の発生機序の第一には、造影剤によるいわば腎臓塞栓による虚血状態が重要であることが示唆される結果である。近年造影剤腎症の発生際には腎臓の組織酸素飽和度が低下する既存の報告と矛盾しない。 その結果を日本IVR学会総会にて発表し受賞した。さらに2019欧州IVR学会でも発表した。現在、さらに追加実験及集積を加えながら論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
造影剤腎症モデルラットの作成を試みた。インドメタシン及びL-NAME投与により背景腎障害が造影剤による腎症誘発リスクを上昇させ、造影剤を経静脈的投与及び経動脈的投与いずれかに分けてその発生程度を評価した。すると、経静脈的投与で誘発された腎障害が、造影剤の経動脈的投与ではさらに重篤な腎障害が誘発されたり、あるいは死亡に至るようであった。それを確認した上で、ハイドレーションとして造影剤投与直後に直接腎動脈からのハイドレーションを試みたところ、造影剤腎症程度が弱まった。具体的には腎動脈から造影剤を投与した場合であっても、静脈から投与した場合と同程度にまで減弱したようであった。これはfirst-passによる影響が減弱してsecond -passの影響になったようであった。効率的なハイドレーションにより、心不全に至リスクも減らせる可能性があり、非常に有用であった。それとともにこの結果は造影剤腎症の発生機序の第一には、造影剤によるいわば腎臓塞栓による虚血状態が重要であることが示唆される結果である。近年造影剤腎症の発生際には腎臓の組織酸素飽和度が低下する既存の報告と矛盾しない。その結果を日本IVR学会総会にて発表し受賞した。さらに2019欧州IVR学会でも発表した。現在、さらに追加実験及集積を加えながら論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
造影剤腎症モデルラットにおいて、造影剤投与経路(経静脈的あるいは経動脈的投与)やハイドレーションの投与経路(経静脈的あるいは経動脈的投与)の違いによる造影剤腎症程度評価に画像による腎臓組織酸素飽和度の測定や尿量、腎臓組織障害程度の評価を加えてより事実を明確にして論文作成していく。
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