研究課題/領域番号 |
19K17232
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西尾 瑞穂 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (50581998)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 深層学習 / 胸部単純X線写真 / 新型コロナ肺炎 / 肺炎 / 自動診断 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナ肺炎の自動診断について、胸部単純X線写真と深層学習を用いて研究を行った。自動診断の対象は正常、新型コロナ肺炎以外の肺炎、新型コロナ肺炎の三つで、これらの三つについて公開データベースから合計1248枚の胸部単純X線写真を収集した。この1248枚を用いて、自動診断を行う深層学習のモデルを開発した。1248枚から125枚をテストセットとして評価対象としたところ、3群の自動診断の正診率は83.6%で、新型コロナ肺炎の感度は90%以上であった。この結果は、英文誌に論文として公開された。
上記の論文の結果を受けて、現在は6つの病院から正常、新型コロナ肺炎以外の肺炎、新型コロナ肺炎の三つの胸部単純X線写真を収集して、同様の自動診断が日本の医療機関で可能かどうかを検討している。合計455枚の胸部単純X線写真の収集が完了しており、これを用いて自動診断を行う深層学習のソフトウェアの修正、ソフトウェアと放射線科医との診断能の比較などをする予定としている。
上記とは別に、深層学習や機械学習を用いた医用画像処理の4つの論文が査読付き英文誌に掲載された。一つ目は、前年度英文誌に投稿中であった胸部単純X線写真の深層学習による肺のセグメンテーションの論文である。これは本年度の2020年度に公開された。二つ目は深層学習を用いた脳梗塞の検出する論文、三つ目は深層学習を用いて肺結節の3次元CT画像を生成する論文、最後はホモロジー法による画像特徴抽出と機械学習を用いた肺の病理画像の自動診断の論文である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、胸部単純X線写真と深層学習を用いて実際に疾患の自動診断を行うソフトウェアを開発した。新型コロナ肺炎の世界的な流行を受けて、自動診断の対象は正常、新型コロナ肺炎以外の肺炎、新型コロナ肺炎の三つとした。公開データセットでの結果ではあるが、この三つの疾患の自動診断において【研究実績の概要】に記載したように良好な成績を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ肺炎の世界的な流行があったため、2020年度以降は、新型コロナ肺炎の自動診断について胸部単純X線写真と深層学習を用いて研究を行っている。
2020年度と同様、最終年度の2021年度も、正常、新型コロナ肺炎以外の肺炎、新型コロナ肺炎の三つについての自動診断を行う深層学習のソフトウェアを開発する。2021年度については収集する胸部単純X線写真の数を増やすとともに、より臨床に即したソフトウェアによる医師の読影支援についても研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ肺炎で学会出張がほとんど出来なかった。また、深層学習を行うためのワークステーションの置き場がなく、ワークステーショの購入が出来なかった。
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