研究課題
パーキンソン病における黒質変性を定量的に評価可能なバイオマーカーを探索することを目的としている。そのため本年度は昨年度に引き続き、患者および健常者を対象にフィリップス社製の3.0T MRI装置を用いて3D Phase-sensitive inversion recovery (PSIR)シーケンスと高速スピンエコーシーケンスで撮像を行い、T1値画像と神経メラニン画像を取得した。昨年度はCOVID-19の感染拡大の影響で撮像が中断していたが、本年度は撮像を再開できたことにより合計33名の被検者の画像データを取得した。得られた画像を解析し、黒質のT1値や神経メラニン画像の高信号をHoehn&Yahrの重症度分類毎に評価した。その結果、黒質のT1値は領域によって異なり、腹外側部で最も延長した。また、パーキンソン病では黒質のT1値が健常者と比較して有意に短縮した。さらに、Hoehn&Yahr重症度が高くなるほどT1値が短縮する傾向を示した。以上の結果から、黒質のT1値を指標とした定量評価が、黒質変性の指標となることが明らかとなった。これらの成果をまとめ、令和4年5月に開催される国際磁気共鳴医学会で発表を行う予定である。また、昨年度に作成した黒質の領域分割アトラスを用いて健常者の黒質のT1値、T2値、プロトン密度を測定し、それぞれの定量値のベースライン値を獲得するとともに加齢によるバイアスを明らかにした。今年度これらの成果をまとめた論文が掲載された。
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