DAT SPECTの定量化を確立し、機械学習を応用することでパーキンソン病含むパーキンソン症候群のより正確な診断法が確立できるかを検討した。 DAT SPECTの評価においては集積の強さや左右差だけでなく、形状の変化を評価することも重要な因子であり、フラクタル解析を用いた形状の変化の定量化が診断能を向上させることを示した。また集積の強さ、左右差、形状の変化の3つの定量値を機械学習を用いて特徴量として組み合わせ診断することでより診断能が向上することも示した。 DAT SPECTにおいて日常診療でよく用いられる定量値としてBolt法を用いて算出されるSpecific binding ratio(SBR)があるが、この定量評価法の弱点として脳溝や脳室の拡大が診断能に悪影響を及ぼす事が知られている。これに対する解決策として脳脊髄液CSFマスク補正が開発されたが、実際の症例においてもこの補正法を用いることでパーキンソン症候群の診断能が向上することを示した。 このようにDAT SPECTの定量評価、機械学習への応用に関する検討を行ってきたが、パーキンソン症候群の鑑別診断においてはDAT SPECTに加えてMIBGシンチグラフィの情報を加えることで更に鑑別診断に役立つ情報を得ることができる。そこでDAT SPECTとMIBGシンチグラフィの定量値をどのように組み合わせれば、より効果的に鑑別でき、診断能を向上させるstrategyが確立できるかを決定木(Decision tree)を用いて検討した。 最終年度ではレビー小体病においてDAT SPECTの集積の形状の変化が脳血流の特定の領域の変化と相関することを示し、DAT SPECTの形状の変化を示す定量値が認知機能や運動症状などを反映するバイオマーカーにもなりうることを証明した。
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