研究実績の概要 |
本研究課題の目的はマルチモーダルMRI解析を用いて、客観的PD診断評価法の開発とPD病態の神経基盤を解明することである。本年度は下記検討を行なった。 拡散MRI解析と深層学習により、高いPD診断精度とPD特異的な神経回路基盤変化(基底核-小脳回路)を検出する評価法を開発した(Yasaka K, Kamagata K, et al. Neuroradiol 2021)。拡散MRI解析とメタボロミクス解析を用いて、遺伝性パーキンソン病(PARK2変異)において、血清酸化ストレスマーカー変化と関連する大脳白質変性が生じることを世界で初めて示した(Koinuma T, Kamagata K, et al. J Parkinsons Dis 2021)。Double diffusion encodingを用いた拡散MR I解析により、PDの大脳白質では顕微鏡的異方性の変化が生じており、その程度が運動症状の重症度と有意に相関することを示した(Kamiya K, Kamagata K, et al. Front Neurosci 2020)。運動症状の臨床亜型である振戦優位型、姿勢不安定性・歩行障害優位型PDを対象にFixel based analysisを使用して、健常に比較し振戦優位型PDの皮質脊髄路では白質線維断面積が増大することを示した。この結果は初期振戦優位型PDでは神経変性を代償的するメカニズムが生じている可能性を示唆する(Andica C, Kamagata K, et al. NPJ Parkinsons, accepted)。 これらの研究結果を含む総説論文を発表し、広く研究結果の普及に努めた(Kamagata K, et al. Neural Regen Res 2020, Kamagata K, et al. Int. J. Mol. Sci. accepted)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は、定量MRI解析を行い、脳容積・皮質厚・神経突起イメージング定量値・拡散MRI定量値、メラニン量、脳ネットワーク指標などを算出し、他の神経変性パーキンソニズムなど類縁疾患や健常群との比較を行い、PD脳で生じている特異的な変化を検出すること、特定された脳領域および定量値変化について、疾患重症度や罹病期間との相関解析を行い、疾患進行による定量値変化を検討することであった。 本年度は研究計画に沿って、脳ネットワーク解析と深層学習によるPDの神経回路基盤評価法・診断法を開発した(Yasaka K, Kamagata K, et al. Neuroradiol 2021)。拡散MRI解析とメタボロミクス解析を用いて、遺伝性パーキンソン病(PARK2変異)において、血清酸化ストレスマーカー変化と関連する大脳白質変性が生じることを世界で初めて示した(Koinuma T, Kamagata K, et al. J Parkinsons Dis 2021)Double diffusion encodingによる拡散MR Iにより、PDの大脳白質では顕微鏡的異方性の変化が生じることを示した(Kamiya K, Kamagata K, et al. Front Neurosci 2020)。Fixel based analysisを使用して、健常に比較し振戦優位型PDの皮質脊髄路では白質線維断面積が増大することを示した(Andica C, Kamagata K, et al. NPJ Parkinsons, accepted)。また、これらの研究結果を含む総説論文を発表し、研究結果の普及に努めた(Kamagata K, et al. Neural Regen Res 2020, Kamagata K, et al. Int. J. Mol. Sci. accepted)。
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