研究実績の概要 |
本研究課題の目的はマルチモーダルMRI解析を用いて、パーキンソン病(PD)診断評価法の開発とPD病態の神経基盤を解明することである。本年度は下記検討を行なった。 臨床的にPDと鑑別が課題となるパーキンソニズムである進行性核上性麻痺(PSP)と大脳皮質基底核症候群(CBS)を対象に、fixel based analysis (FBA)を用いた横断的・縦断的検討では、病理組織学的に示唆されているタウの伝播パターンと一致する線維密度の低下及びそれに続く線維萎縮という疾患進行パターンが明らかとなり、FBA指標が両疾患の病態評価及び鑑別に有用であることを示した(Uchida W, Kamagata K, et al. NPJ Parkinsons Dis. under review)。 また、PD病態への関与が報告されている脳クリアランスシステムの仮説であるグリンパティックシステム機能をMRIで評価する解析パイプラインを整備し、その有用性を示した (Kamagata K, et al. Neurology. 2022; Andica C, Kamagata K, et al. Neurobiol Dis. 2022; Morita Y, Kamagata K, et al. Front Neurol. 2022; Saito Y, Kamagata K, et al. Jpn J Radiol. 2023)。さらに、PDにおける大脳白質評価に有用である白質自動セグメンテーション手法や定量MRI技術についてのレビュー論文を発表した(Andica C, Kamagata K, et al. Anat Sci Int. 2023; Hagiwara A, Kamagata K, et al. Invest Radiol. 2023)。
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