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2020 年度 実施状況報告書

蛍光飛跡計測技術によるオージェ電子の線量評価手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K17251
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

楠本 多聞  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 博士研究員(任常) (90825499)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード標的アイソトープ治療 / Cu-64 / 蛍光飛跡検出器 / オージェ電子
研究実績の概要

昨年度、蛍光飛跡検出器(FNTD)を用いることで、Cu-64線源から放出されたオージェ電子(平均約2 keV)のシグナルをその他の粒子(β粒子)と区別して捉えることに成功した。得られたシグナルの情報を線量評価につなげるためには、FNTDの感度のエネルギー依存性及び素子間の感度の違いを評価する必要があった。この目的のために、フランシュコンテ大学(仏)において、超軟X線(1.49 keV)の照射実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス拡大の影響により実施できなかった。代替の実験として、C-14及びトリチウムから放出されるβ線の照射実験を行った。照射後の解析を現在進めている。素子間の違いに関しては、Am-241から放出されるα線による蛍光の強度をFNTDのlot毎に評価した。これにより、FNTDの着色が強い素子ほど高い感度を持つことが明らかにした。蛍光強度とFNTDの着色の関係から、感度を補正する補正関数を得た。
上記に加えて、低エネルギー電子がDNA等の高分子鎖の切断にどのような影響を及ぼすのかを理解するために、30 eV以下の低エネルギー電子の照射実験をシャーブルック大学(加)で予定していた。実験は、50 Kに冷却したPt板上に試料を凝縮させ、低エネルギー電子を照射する。照射後の断片を飛行時間測定質量分析器で測定することで、どの官能基にどの程度の損傷が起こったのかを明らかにする。こちらの実験も新型コロナウイルス拡大の影響により、延期となった。現在、国内において代替実験の検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス拡大の影響により、海外への渡航が困難であり、国外で実施予定の実験を行うことができなかったため。

今後の研究の推進方策

C-14及びトリチウムから放出されるβ線の照射済み試料の分析を進める。加えて、ガンマ線及びX線の照射実験も行うことで、FNTDの電子に対する感度のエネルギー依存性を明らかにする。Cu-64を使用した実験を再度行い、明らかにした「FNTDの着色による感度の違い」及び「FNTDの感度の電子のエネルギー依存性」より、C-64、1壊変当たりのオージェ電子の吸収線量を評価する。結果をシミュレーションと比較することで、その妥当性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス拡大の影響により、海外で行う予定の実験が困難であった。本年度も国外への渡航は困難であることが予想されるため、Cu-64溶液の購入及びFNTD試料を購入し、実験を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Verification of dose estimation of Auger electrons emitted from Cu-64 using a combination of FNTD measurements and Monte Carlo simulations2020

    • 著者名/発表者名
      Kusumoto Tamon、Matsuya Yusuke、Baba Kentaro、Ogawara Ryo、Akselrod Mark S.、Harrison Jonathan、Fomenko Vasiliy、Kai Takeshi、Ishikawa Masayori、Hasegawa Sumitaka、Kodaira Satoshi
    • 雑誌名

      Radiation Measurements

      巻: 132 ページ: 106256~106256

    • DOI

      10.1016/j.radmeas.2020.106256

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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