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2021 年度 実績報告書

蛍光飛跡計測技術によるオージェ電子の線量評価手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K17251
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

楠本 多聞  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 研究員 (90825499)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードオージェ電子 / 蛍光飛跡検出器
研究実績の概要

オージェ電子は付与エネルギーが大きいことから高い生物効果が期待できることに加えて、その飛程の短さからがん細胞周囲の正常組織への影響を少なくすることができる。これらの利点からオージェ電子放出核種は標的アイソトープ治療に用いる放射性同位元素として大きな注目を集めている。しかしながら、オージェ電子はその飛程の短さから直接その飛程を捉えることが難しい。そのため、オージェ電子の線量評価手法は未だ確立されていない。本研究では、あらゆる放射線に感度を持ち、放射線の飛跡1つ1つを可視化する蛍光飛跡検出器を用いてオージェ電子の線量評価手法を確立することを目的としている。
オージェ電子放出核種として、Cu-64を使用した。Cu-64標識した塩化銅水溶液を蛍光飛跡検出器に滴下し、観察で使用する共焦点顕微鏡の焦点深度を調整することでオージェ電子によるシグナルと競合過程で発生するベータ粒子によるそれを区別して評価することに成功した。これはオージェ電子のシグナルを直接捉えた初めての成果である。次のステップとして、オージェ電子の線量を評価するためには、蛍光飛跡検出器の素子間の感度の違い及び感度の電子のエネルギー依存性を得る必要がある。前者に関しては蛍光飛跡検出器の開発者らと共同で校正方法を確立しており、成果として纏めている最中である。後者に関してはX線の照射を管電圧を変化させながら行うことで、感度の電子のエネルギー依存性を評価していく予定である。
また、平行して化学線量計を利用した線量評価の検討も開始している。水の放射線分解で生成するOHラジカルの生成量を基準とし、線量の評価を行った。線量計の体積を変化させることで、オージェ電子の寄与を一定に保ちながらベータ粒子の寄与のみを変化させて線量を評価した。得られた結果はモンテカルロ法によるシミュレーションの結果と非常によく一致することを確認している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Estimation of biological effect of Cu-64 radiopharmaceuticals with Geant4-DNA simulation2022

    • 著者名/発表者名
      Tamon Kusumoto, Kentaro Baba, Sumitaka Hasegawa, Quentin Raffy, Satoshi Kodaira
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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