研究課題/領域番号 |
19K17252
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
檜山 貴志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (40807278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高精細CT / 頭頸部がん / サブトラクション / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はCTのコントラスト分解能を改良するため,高精細CTと深層学習画像再構成(Deep learning reconstruction)を用い,骨差分ヨード(bone subtraction iodine: BSI)画像を開発し,臨床的有用性を検証することである. ①骨差分ヨード画像の開発:深層学習画像再構成により,軟部組織に関してはこれまでよりもノイズやコントラストが改善されたが,骨組織に関しては位置ずれの影響がより厳格に出てしまうため,課題となっている.この問題に対して,手動による位置合わせや,位置ずれをきたした部位のCT値を変更するような後処理を試みたが,実用化できるほどの改善は得られず,改良中である. ②症例の蓄積:頭頸部がんに対して現在までに約600例の撮影を行っており,症例の集積は順調である. ③臨床的有用性の検討:舌癌のステージングでは腫瘍径と腫瘍深達度の測定が必須条件となっている.しかし,従来のCTでは,金属アーチファクト低減技術を持ってしても,しばしば義歯によるアーチファクトのため,腫瘍の検出や大きさ・腫瘍深達度の測定が不可能であった.BSI画像を用いることにより,腫瘍と正常舌組織のコントラストを改善し,金属アーチファクトを低減させ,舌癌の検出能が上昇するだけでなく,大きさや腫瘍深達度が測定可能となる症例が増えたことを示し,本年度はこれらの結果を北米放射線学会にて発表した.また,硬膜浸潤や頭蓋内進展に対するBSI画像の有用性に関して検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軟部組織に関する臨床的有用性に関しては良好な結果が得られつつあるものの,骨組織に関しては,骨差分の位置ずれによるアーチファクトはまだ解決されておらず,やや遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
①軟部組織に対するBSI画像の撮影法はほぼ確立しているため,引き続き症例を集積し,様々な部位での臨床的有用性を検証していく. ②骨に対するBSI画像の改良のため,位置ずれの補正方法や後処理の方法を再度検討しなおす.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により,国際学会の現地大会への出席ができなかったため,出費が予定よりも少なくなった.次年度の使用計画は,① 今後蓄積されるデータを保存しておくため のハードディスクの費用. ② データ処理・ 画像処理を行うためのアプリケーションの費用. ③ 学会発表,英文校正,論文投稿の費用である.
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