研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) は、飲酒暦はないが肝細胞に脂肪が沈着し肝障害を起こす疾患の総称である。NAFLDは、病態が進行することが稀な単純性脂肪肝 (SS) と、炎症に伴って肝臓の線維化や肝機能が低下する非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の2つに大別される。現在、NASHとSSとの鑑別には、肝生検がGold Standardとして用いられている。しかし、肝生検は侵襲性が高いため、生検に代わる診断法の開発が望まれている。そこで、本研究では、チミジンホスホリラーゼ (TP) イメージングプローブ {[123I]5-iodo-6-[(2-iminoimidazolidinyl)methyl]uracil ([123I]IIMU)} が、非侵襲的なNASH鑑別診断に応用できる可能性を調べた。本研究では、SSおよびNASHモデルマウスを、肥満マウスであるdb/dbマウスに通常食またはメチオニン・コリン欠乏食を4週間給餌させることで作製した。上記モデルマウスに[123I]IIMUを静脈内投与し、投与30分後にsingle-photon emission computed tomography (SPECT)/computed tomography (CT) 撮像を行った後、各モデルマウスで得られた画像を比較した。その結果、[123I]IIMU SPECT画像からSSモデルとNASHモデルの区別することは可能であり、[123I]IIMUの肝集積量は、SSモデルと比較してNASHモデルで減少することが明らかとなった。 これらの結果は、[123I]IIMUを用いた核医学診断で肝臓内のTPの発現量あるいは分布を調べることで、非侵襲的にNASHの鑑別診断を行える可能性を示すものである。
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Nuclear Medicine and Biology
巻: 82-83 ページ: 25~32
10.1016/j.nucmedbio.2019.12.006