研究課題/領域番号 |
19K17260
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研究機関 | 群馬県衛生環境研究所 |
研究代表者 |
小林 大二郎 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30827225)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重粒子線治療 / 子宮頸がん / 放射線治療 / 化学療法 / 細胞死 / 細胞形態 / テーラーメイド治療 |
研究実績の概要 |
癌が日本人の主要な死因となって久しい。各種治療法も考案されているが我々が期待する治療効果には程遠いのが現状である。重粒子線治療はその殺細胞効果の高さから今後放射線治療抵抗性腫瘍に対する適応拡大が期待されている。日本でも保険収載されX線に対して難治性の腫瘍に対する高い治療効果が報告されている。さらに近年では新たに免疫療法が脚光を浴びている。X線を用いた放射線治療では長年の研究成果から併用による治療効果の向上が図られてきたが、重粒子線治療は歴史が浅く未だ同時併用療法の確立には至っていない。高い殺細胞効果を有する重粒子線治療と化学療法や免疫療法を併用することにより、これまで困難だったがん治療の飛躍的な効果向上が見込まれる。同時併用化学重粒子線治療の臨床応用にはまず基礎実験での治療効果の確認が必須である。本研究はその基礎データ取得を主目的としている。具体的には化学療法と重粒子線治療を同時投与した際の細胞変化の観察である。我々は重粒子線治療の前に対照実験として同時化学放射線治療が核形態変化に及ぼす影響について臨床検体を用いて探索した。具体的には治療開始直前の子宮頸がん患者の子宮頸部から組織診を行い、核染色し核形態を観察する。治療開始後1週間時点で同様に生検し核形態を観察する。その結果、治療開始前と比較して治療後1週で微小核が有意に発現上昇することが確認された。本結果は過去に報告がなく重要な知見であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対照実験であるX線についてのデータは取得することが出来た。続いて重粒子線治療を用いたデータ取得に移行する。重粒子線治療は国内の保有台数が少なく、実験に使用できる時間も限られている。さらに年度末からのコロナウイルス流行の影響で移動制限があり実験を進めることに支障があった。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータを用いて論文化を進める。重粒子線治療を用いたデータ取得についてはコロナウイルスによる自粛解除がされた後、実験施設での実験を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中からコロナウイルスによる自粛期間があり学会の延期中止、実験自体の遂行に支障をきたしたため使用金額が想定よりも低くなった。今年度についても新しい生活様式の中でどこまで研究遂行が可能になるか、見通すことは困難であるが実験計画に遅れを取らないよう進めていく。
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