研究課題/領域番号 |
19K17265
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊良皆 拓 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80826008)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルチエナジー撮像 / コーンビームCT / メタルアーチファクト低減 / 高画質化 / 同時曝射 / 高精度放射線治療 |
研究実績の概要 |
2019年度は①マルチエナジー撮像の実現とメタルアーチファクト低減,②メガボルト・キロボルト同時曝射撮像における散乱線の定量的測定と補正法の開発を行った. ①Vero4DRTに搭載されている2対のキロボルトX線撮像システムのうち1対を用いて,金属フィルタによるマルチエナジー撮像を行い,仮想単色X線画像を作成して(1)メタルアーチファクト低減能及び(2)画質を評価した.測定ではまずスズを管球出口に貼付けてCBCT撮像を行い,次いでタングステンに張り替えて再度撮像を行った.比較として,80-125 kVpの組み合わせでもマルチエナジー撮像を行った.ファントムは(a)水等価物質をベースとした直径20 cmの円柱で,3か所に水等価物質とは相対電子密度が異なる3種類のロッド挿入したもの((1)と(2)で用いる)と,(b)別の2か所をチタンロッドに置き換えたもの((1)で用いる)を用いた.仮想単色X線画像は,2種類のエネルギーで撮像し再構成した画像を重みをつけて加算する方法を用いた.(1)(W, Sn)及び(80, 125)で2種類のファントムを撮像し,(b)におけるファントム中央のCT値と(a)のCT値との差を算出した.どちらの撮像法においても,差がゼロになる重みが存在した.(2)3種類のロッドのCNRを算出し,(W, Sn)が最も大きいCNRを示した. ②TrueBeamに搭載されている1対のキロボルトX線撮像システムを用いて,メガボルト・キロボルト同時曝射撮像を行った.その際,キロボルトX線平面検出器(FPD)にメガボルト散乱線が混入する.実験ではメガボルト散乱線を測定し,その大きさがクライン仁科の式に従うことを示した.さらにメガボルト散乱線を補正することで,再構成したCBCT画像の画質が改善することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床装置において,金属フィルタを用いたマルチエナジー撮像を実現し,メタルアーチファクトが低減でき画質が向上することを示しているため.円盤モジュールは作成していないが,方法論の実証が重要である.さらにメガボルト・キロボルトX線という大きなエネルギー差を持つ撮像法にも挑戦しているため.
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今後の研究の推進方策 |
①過去の研究を参考に金属フィルタを決定したが,臨床装置でのマルチエナジー撮像には最適化されていないように思われる.そのため,全金属を対象として臨床装置に最適なフィルタの決定を行う.決定された金属フィルタを用いてメタルアーチファクト低減能及び画質評価を行う.さらに,再構成されたCBCT画像を用いた仮想単色X線作成だけでなく,投影画像を処理して作成する方法も開発する. ②メガボルト散乱線画像は実測データを用いている.これは臨床現場においては,一度患者に対してデータ測定しなければならないことを意味する.それは無駄な被ばくとなるため好ましくない.そのため,メガボルト散乱線画像を治療計画情報,患者CT画像から推定する技術を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
第33回高精度放射線外部照射部会学術大会がWeb開催となったため.物品の購入に充てる.
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