急性期脳梗塞が高信号として描出される脳MRIの拡散強調画像は非常に有用な撮像法である。同時に、騒音・振動が大きく、またアーチファクトが生じやすい撮像法でもある。特にアーチファクトにより偽病変が生じることは望ましくないため、アーチファクトを少なくする方法を検討した。従来の拡散強調画像に加え、静音化技術の備わった拡散強調画像、画像の歪みの少ない拡散強調画像を撮像することが可能となってきており、下記の項目のように研究を進めた。(1)従来の拡散強調画像のデータを用いて、自動的に正しく高信号を拾い上げる仕組みを構築すべく取り組んだ。本施設の健常データベースを用いて、標準脳空間において健常者の拡散強調画像マップを作成し、急性期脳梗塞患者の拡散強調画像との対比を統計学的に行う環境を整えた。(2)静音化技術の備わった拡散強調画像を、同一の検査において従来の拡散強調画像と比較することで、病変の検出能やアーチファクトの頻度を評価した。再評価の結果、病変の検出数は静音化技術の備わった拡散強調画像が従来の拡散強調画像をわずかに上回り、その有用性が示唆された。アーチファクトの頻度は、鎮静をかけた場合に静音化技術の備わった拡散強調画像において低く、鎮静をかけない場合は両者の間に有意差を認めなかった。この研究成果については学会発表を行った。また雑誌論文に投稿し、現在改訂中である。(3)画像の歪みの少ない拡散強調画像のデータ収集を行い、こちらについても学会発表を行った。今後、雑誌論文に投稿予定である。
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