研究課題/領域番号 |
19K17273
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大野 剛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (20646971)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蛍光ガラス線量計 / MRリニアック / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
今年度はモンテカルロシミュレーションを用いて,垂直静磁場下における蛍光ガラス線量計の感度変化を明らかにした. ローレンツ力が蛍光ガラス線量計の短軸方向に働く場合,垂直静磁場による感度変化は1%以内であった.一方,ローレンツ力が蛍光ガラス線量計の長軸方向に働く場合,垂直静磁場による感度変化は4%程度まで大きくなった.これは,蛍光ガラス線量計の短軸と長軸の長さの違いによる入射電子フルエンスの違いに起因する.よって,蛍光ガラス線量計を垂直静磁場下における線量測定に用いる場合,ローレンツ力が短軸方向に働くように蛍光ガラス線量計を配置することが望ましいことが明らかになった. また垂直磁場下においては,蛍光ガラス線量計とホルダの間の空隙が感度に影響を及ぼし,空隙の有無により2%程度の感度低下が見られた.これは,空隙と水等価ファントムの境界で起こるElectron return effectにより,2次電子による蛍光ガラス線量計への線量付与が減少したことに起因する.よって,蛍光ガラス線量計を垂直静磁場下における線量測定に用いる場合,蛍光ガラス線量計をホルダなしで使用するもしくは,ホルダと蛍光ガラス線量計の間の空隙を水で埋めて使用することが望ましいことが明らかになった. 加えて,ビルドアップ領域では蛍光ガラス線量計の感度に大きな変化が見られた.そのため,患者表面に蛍光ガラス線量計を配置し,治療中の線量測定を行う場合には,注意が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は蛍光ガラス線量計の感度変化を明らかにした.これにより,将来の研究項目であるMRリニアックの線量標準の確立に向けた出力線量測定に必要な基礎データが得られたため,総合的にはおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後9は,電離箱線量計の感度変化に関して研究を行う.また出力線量測定に向けて,MRリニアックを有する海外の施設との共同研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究で使用するパソコンの購入費が想定より安価となったため,次年度の物品費に充てる予定である.
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