研究課題
今年度の目標として掲げていたDox誘導CRISPR/Cas9システムによるDSB誘導細胞株の作製については、以前樹立したCRISPR/Cas9によるIgHおよびCCND1遺伝子の切断によるt(11;14) の人工的転座誘導の系を用いて、任意のタイミングで誘導可能なTet-Off 誘導系に改変し293 細胞やhTERT 不死化繊維芽細胞などのAAVS1座位に組み込んでDSBを誘導し、転座/二動原体染色体(Dic)の生成頻度についてPCRおよび蛍光タンパクによる迅速解析系を作製した。転座/Dicの形成に応じて発現する蛍光タンパクを検出する系としてCas9による切断および蛍光タンパク(GFPおよびRFP)の導入実験が完了し、現在は蛍光タンパクの発現の有無とその蛍光強度について確認を進めている。また、染色体異常頻度の形成頻度の差異および個人間での染色体異常形成率に差があるか調べるため、CT被ばく患者の検体を用いて解析を進める予定であったが、染色体異常頻度の観察に、これまでのCT検査による被ばくによってバイアスが生じている可能性が考えられたため、幅広い年齢層での解析および年齢や喫煙など染色体異常頻度に影響を及ぼす可能性が考えられる要素について出来る限り排除するため、新たに複数名の健常者から採血を行い、末梢血リンパ球に1Gy以下 (0, 0.2, 1Gy) のX線照射を行い、Dicおよび転座の形成頻度についてギムザ染色およびFISH法にて解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
概ね当初の計画通りの進行である。
作成したDSB誘導細胞株を用いてshRNAなどの阻害分子による染色体異常頻度への影響について解析を進めていく所存である。
異なる補助事業費から国内旅費の補填が行えたため、次年度使用額が生じた。これについては、来年度の物品費として充当、使用する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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