研究課題
Dox誘導CRISPR/Cas9システムによるDSB誘導細胞株の作成、染色体異常の誘導については、DNA鎖切断、蛍光タンパクの発現誘導効率が期待よりも低くかったため、より効率化させるべく、細胞導入条件の検討やベクターのデザインの見直し、再作成等を進めている段階である。また、染色体異常頻度の自然形成率や個人間での差異に関する研究では、70名以上の協力を得て、X線照射末梢血リンパ球 (0, 0.2, 1 Gy) の固定細胞を作成を行った。試薬反応性の低さなどから、実際に固定細胞の保存、解析が可能な検体は60名強分である。固定細胞固定細胞は随時、標本作製および染色、観察を進めている。現在までに転座解析において20名弱分の自然形成率 (バックグラウンド) の分析が完了している。照射検体に関しても、画像解析を進めており、2名分に関しては、全標本における目標細胞数の解析が完了している。今回の健常者検体は、20代前半の日本人検体であり、日本人における染色体異常の自然形成率に関する貴重な基礎データとなるため、研究開始時に回収したアンケート結果と照らし合わせて、年齢や性別、居住地域、過去の医療被ばく (健診以外の検査由来) などの細かなグルーピングを行い、各因子による染色体異常頻度への影響度についても確認を進めている。現時点の進捗 (約3分の1) では、染色体異常頻度に影響を及ぼす変動因子の確認はできていない。
4: 遅れている
DSB誘導モデルの再調整 (作成) が必要になったため。また、解析細胞数の多い転座解析を優先しているため、二動原体染色体解析が遅れている。加えて所属機関の異動による研究中断期間が存在したため。
再作成したDSB誘導細胞株を用いてshRNAなどの阻害分子による染色体異常頻度への影響について解析を進めていく。また、研究報告が少ない転座解析を中心に、健常者における染色体異常頻度および放射線個人感受性の有無に関する分析を早急に進めていく予定である。
所属機関異動に伴う研究中断期間が存在したこと、および予定していた国際学会等が新型コロナウイルス流行に伴い中止となり、旅費の使用予定がなくなったため。次年度は研究遂行に必要な試薬や消耗品、少額備品の購入に使用する予定である。
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Scientific Reports
巻: 11 ページ: 1-1
10.1038/s41598-021-84628-5
International Journal of Radiation Biology
巻: 97 ページ: 194~207
10.1080/09553002.2021.1844338